8月を最後に止まっていた前年の俳句を振り返るシリーズが復活です。
抜けた月を一気に掲載することも考えましたが、季節感が無くなってしまうので前々年の句としてその月に掲載することにします。
記憶より多く作句していましたが暇だったんでしょうかね。
っていうか、どんだけ「二月尽」好きなんだよ(笑)。
こうして振り返ると今年は不調過ぎます。
少し心が病んでいますかね。
感性が戻るには何をしたら良いでしょうか。
- ひとがたを貴方に見立て垂氷(たるひ)刺す
- 融けだして窓に向かいし垂氷かな
- 氷柱(つらら)手に騎士だ武士だとチャンバラす
- 渇く喉氷柱舐めてた幼き日
- 雪割草逢いたいですか逢えますか
- 雪割草涙のあとの笑顔かな
- 待つだけの身ではないのと雪割草
- 雪割草人混みのなか見つけ出す
- 初午や幕間に食むいなり寿司
- 初午の幼なじみや縁日で
- 歌舞伎座の行灯懐かし初午や
- 初午や芝居の幕は今日も開く
- 薄氷(うすらい)を渡るよにゆく恋の道
- 薄氷融かしてみんと口づけす
- 薄氷すべらせた指の傷深く
- うすらひをとかしてみんとくちづけす
- 凍返る半歩近づき寄せた肩
- 凍返る足音響くアスファルト
- 街灯に紫煙の影や冴え返る
- 窓開けて焼かぬ遠くの山眺む
- 佐保姫や行きつ戻りつ迷い道
- 佐保姫やいつまで続くかくれんぼ
- 塀越しの隣の梅が咲くを待つ
- 義理だろが本命だろがチョコはチョコ
- チョコレート渡せぬままに去る背中
- 雪は降る皆が待つ春通せんぼ
- 春遅し風を避けよか日向に出よか
- 雲間から差した陽消えて春遅し
- 今日を生きて鼓の音に春兆す
- せり上がる春の兆しや吉野山
- 春はくる明けない夜がないように
- 春なのに春だからよと涙する
- 酒蒸しの浅蜊こしらえ燗つける
- 下萌の庭に下り立ち干す襦袢
- 雨水の色探したけれど見つからず
- 空はまだ冷たく重く雨水かな
- 逢いたくて言葉にできず雨水かな
- 雨水など気にも留めない若き日よ
- ひたすらに呆けて過ごす雨水かな
- 白梅や青空を背に跳びはねる
- 毛氈に座して見上げる梅白し
- 白梅の蕾数えて飲む昆布茶
- 白梅のふるえる枝にレンズ向け
- 吹く風に春のにほひはかき消され
- 春風や未だ冷たし交差点
- パステルのショール纏いて春を呼ぶ
- ビル風にするりほどける春ショール
- 魂の寄居虫(やどかり)なりしこの身かな
- 我が人生恋の寄居虫悔いはなし
- われいきてこひのやどかりくひはなし
- チョコレート食べ終えぬまま二月尽
- 空見上げ感謝のことば二月尽
- 去る人を追わずと決めた二月尽
- もういいかいめくる暦や二月尽
- はやくともゆるりとも云ひ二月尽
- さよならの涙連れ去る二月尽
- 二月尽ひと息入れてまた歩く
- 二月尽工事の人の手休まず
- 二月尽迎える季節小躍りす
- 二月尽散歩の上着脱いでみる
- 二月尽時は金なり身に染みて
- 気がつけばすでに尽き果つ二月かな
- 踏みださん二月果つとも陽は昇る