ご記憶の方も多いと思いますが、昨年二月の東京は数度の大雪に見舞われました。
そのせいもあってここぞとばかりに春の雪を季語にして作っております。
ひとつおかしな句がありますが(笑)
- 恋千枚漬けて寝かせて尼になる
- 豆まきや内なる福を呼び起こす
- 立春や朝は暖か夜凍てり
- 立春や暦の上では繰り返す
- 立春や少し明るい色の服
- 葱鮪鍋笑顔笑顔の差し向かい
- 野球部の円陣に湯気寒戻る
- 頬叩く風冴え返る今朝の道
- 夕暮れの雲は沈みて冴え返る
- 春の雪夢の中では暖かく
- 予報士の煽りに耐えて春の雪
- 封筒に水滴ひとつ春の雪
- 春の雪明けて滴る軒端かな
- 融けぬうち貴方来てよと春の雪
- 眩しさに目尻気にする春の雪
- 春の雪退けて迎える思ひ人
- 春雪や白無垢姿の蕾かな
- 春雪や枝に咲く花白い花
- 春の雪降り続いてと袖掴む
- 積む雪や春の足跡消し去って
- 捕われた轍の車春の雪
- 残雪や轍を削る車かな
- 宇賀ヲタの悲痛な涙春の雪
- 宇賀なつみアナウンサーの報道ステーション卒業によせて
- 隠しても表情(かお)に出るのね雪割草
- バレンタイン義理と人情確かめる
- バレンタイン義理も果たさず配る女(ひと)
- なんの日か知らぬふりしてチョコ食らう
- 一杯の白湯に浮かんだ春の月
- 春満月落ちたかんざし触れる髪
- 春の月煮ものをひとつ摘み食い
- 猫の足そろりそろりと雨水かな
- ごめんねと送ってみれば雨水かな
- アスファルト流れる涙雨水かな
- 籠に摘む防風の砂叩く指
- しがらみに足取られつつ防風摘む
- 人の世の落とし穴かな浜防風
- 浜防風目印にして迷い道
- かき揚げの防風ピリリ恨み酒
- 浜防風喰むで逃げ出す男ども
- 鞦韆や漕いで進むは時ばかり
- 鞦韆のやうな男と女かな
- 鞦韆や行きつ戻りつ行けぬ道
- 鞦韆や漕げど届かぬ青い空
- またひとつ恋失って春兆す
- 春兆す不意にカヌレを食べたくて
- 空き部屋の三軒増えて春兆す
- 春兆す終の棲家は見つからず
- 踏み出した靴の重さや春兆す
- 啼く鳥の姿探して梅見かな
- 荒れた手の少しやわらぐ梅見かな
- 目と目合いふとごまかして梅を見る
- 敷石を数えて歩く梅見かな
- 忍び足消せぬ気配は夜の梅
- 酒場にて扉開いたか夜の梅