秋は気持ちばかり詠みがちです。
もともとそんな俳句ばかりなのですが写生するよう心掛けたいものですが、秋という季節はそういうものかもしれません。
夏が終わって寂しくなるのかもしれませんが、一年の終わりが見えてみるからではないでしょうか。
では、昨年十月の俳句です。
- 気の迷い棘やわらかな秋の薔薇
- 黄金色そよぐ稲穂や風の道
- 白菊を手折り仏間を覗く孫
- 白菊や仏花を選ぶ未亡人
- 月を喰み酒の肴に寒露かな
- 積読の数だけ買って青蜜柑
- 青蜜柑ほんの少しの躊躇かな
- 病床の友と語らう青蜜柑
- 夕焼けや秋深まりてさようなら
- 深秋や隠るる月の朱に染まり
- 晩秋や雨に震えるスマートフォン
- 田園の秋は短し蝦夷のまち
- 朝焼けに酔い覚めにけり秋寒し
- 吹く風に背向け下向く秋意かな
- 夕焼けに灯り点さず秋思かな
- 種採やカサリカサリと返事する
- 秋空やビルもタワーも届かない
- どこまでも心からっぽ秋の空
- 浅煎りの豆挽き難し秋の空
- 新米や湯気に手かざし若返る
- 荷が届き櫃は古米となりしかな
- 紅葉且つ散る靴紐の解けたり