吉原御免状

青山劇場はオケピ(2000年6、7月)以来の二度目。座席はM列上手側。

SHINKANSEN☆PRODUCE いのうえ歌舞伎『吉原御免状』
松永誠一郎....堤 真一
勝山太夫.....松雪泰子
高尾太夫.....京野ことみ
柳生義仙.....古田新太

原作未読。まだ公演が続いているので細かくは書かない。

やっぱ、堤さんってカッコイイねぇ。アテルイ(あれはかなりやられたし、ちょっと惚れた。)から三年。更に隙の無さが増したカッコ良さだった。殺陣も凄いし出ずっぱりだし、ケツも見せるし(笑)。女優さんたちも良かった。炎が氷で包まれているような勝山太夫。その氷は絶対に内側からは融けないのに、誠一郎に会って外側からあっという間に融けてしまい、自らをその炎で燃やし尽くしてしまったようだった。松雪さんは舞台は二度目だそうだが十分の存在感。立派にヒロインを務めていた。糸を紡ぐ前の綿花のような高尾太夫。触れると柔らかくて暖かいのだが、簡単に握りつぶしてしまえそうな脆さを持つ。八百比丘尼が熊野に帰る時に呟いた高尾の一言はせつなかった。その八百比丘尼の高田さんは、ちょっと勿体ない気もしたけれど、必要最低限の笑いを振りまきつつ舞台を引き締めていた。古田さんはキッチリの脇にまわって、誠一郎が引き立つような位置にいたような気がするのだがどうなんだろう。

歌無し、お笑いシーン無しの新感線。新感線を観たなぁ、と言うよりはお芝居を観てきたという感じではあった。祭り感は無かったけれど(これは染さんが出演されていない新感線を観るのが初めてだからかも(苦笑)。)十分に楽しめたことは確か。実を言うと「歌が無いのよ、笑いも無いんだよ。」と自分に言い聞かせすぎたのか、最初のうち、どんなスタンスで観て良いのか戸惑うというか、ちょっと居心地悪いような感覚があったのだけれど、話が進むに連れて気にならなくなっていた。回り続ける舞台の方が気になっていた(笑)。

少し残念だったところを二、三。一部の役者さんのセリフが聴き取りにくかったというか、音響のせいだと思うのだけれどくぐもったような滑舌が悪いような感じに聞こえてしまった。まぁ、こちらが座っている位置の問題もあるのだろう。それと、やっぱり花道があったほうが良いよなぁ。これはホントに心底思った。芝居の雰囲気と劇場が合っていないような気もしたんだよなぁ。これについては、普段歌舞伎座とか客席の傾斜が緩い劇場でばっかり芝居を観ているせいかも(苦笑)。どれもこれも仕方が無い話ってことは十分理解して書いているので不快に思わないで頂きたい。

あ、最後に一言だけ。橋本じゅんさん、素敵だったわ。

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