Posts Tagged ‘新感線’

新橋演舞場「朧の森に棲む鬼」vol.1

2007/1/12 金曜日

1階一桁列ほぼセンター。朧鬼御膳。食べやすかったしおいしかった。

プレビューを含めると二回目の観劇。十日余りでこうも引き締まるものか。正直なところ、前回は前半は長く感じなくもなかった。第一幕終わりの評定の場面まで色んなものがどんどんと積み重なっていく。それらは第二幕でぐらつき、ついには尋常ならざるスピードで崩れ落ちていく。何が嘘で何が真実か、何が悪で何が正義かわからない。人とは、自分に都合の良いものが真実であり正義とする生き物である。朧の森が放った小さな火に、自ら油を注ぎ、自らその業火に巻かれる人間たちを描いている…、なんて能書きたれていないで楽しめよ!!という芝居。

以下、ネタバレ有。

最初のオボロたちとライのやり取りは歌ではなく会話で聴きたかったかも。異次元というか魔界というか、そういったところを表現しているんだろうなぁ。それにしても朧の森のセットは素晴らしい。終演後、しばし眺めていた。無数のシャレコウベから目が離せなくなる。

プレビューの時にはさほど印象深く感じなかった評定の場が今回は素晴らしく記憶に残っている。ライがサダミツを斬るところの迫力が凄い。鬼のようなものが鬼になった瞬間といった感じ。この場面に限らないが、マダレの顔芸、腹芸、変わり身も見ごたえあり。

シキブがオオキミに毒を盛る場面は秀逸。シキブはすっかりライに精気を吸い取られていて、前半より二割痩せで出てくる。そう、一つの芝居の中ですっかりやつれてしまっているのだ。立ち去ったツナを「だぁぁぁい嫌い」と睨みつけている時とは別人。とにかくこのシーンはオオキミの愛と優しさが悲しすぎる。

ツナはやはりカッコイイ。いや、カッコ良すぎる。ヤスマサの首を胸に抱くシーン以外は全て自らを針で刺し続けているような女である。

ライの色気と妖気はすさまじくなっていた。ありゃ、目が合ったら殺される。右の眉頭に書いた縦の筋がこれまた色っぽい。嘘を吐き、人を殺めるたびにそのオーラを増していく。ツナをいたぶるシーンは壮絶。次から次へと着替えていくライ。橙色というか金茶色が似合っていたのは少し意外かも。けれど、最後の落武者状態がなぜか一番かっこ良くみえる。

ライは朧の森に獲りこまれたのか、自らの血で朧の森を真っ赤に染め上げることができたのだろうか。

新橋演舞場「朧の森に棲む鬼」vol.0(プレビュー公演)

2006/12/31 日曜日

1階二桁列ほぼセンター。開演前に朧鬼弁当、終演後は年越し素麺。蕎麦と素麺の両方が用意されていたようだが、手近なところで受け取ったら素麺だった。(染さんへ、そーめン五郎っつーのは無理あるから。流し染五郎とかやるんなら観に行くけど。)

どちらかというと芝居は中盤以降に観に行くことが多く、プレビュー公演は初めてのことで、さらに大晦日となると妙にハイテンションになってしまう。でも、そのハイテンションが醒めることなく幕は下りた。おもしろかった。プレビューということもあるので、あまり詳しくは書かないようにしよう。

染五郎さんは絶対に悪役の似合う人だと思っていたので、このテの役は観たかったんだよなぁ。でもね、欲を言えばちょーーーーーっとだけ違うんですよ、いのうえさん、中島さん。ま、そんなことはどうでも良いってくらいのお芝居であることは確か。音響にやや不具合がみられて、大詰めの染さんのセリフが聞き取れなかったのは残念。殺陣の変化、衣装の変化もさることながら、妖気を蓄えて行く姿がいい。でも、まだ人だったね。鬼じゃない。阿部サダヲさんを舞台で拝見するのは初めてだったが凄い人だ。役柄的にもおいしいと言えばおいしいのだが、それを差し引いても何とも表現しがたい力を感じる。哀しい陽を纏う人だ。古田さんったら、これまた難しい役を!!ちょっとカラクリが分かり易すぎて損だなぁ。鍵となる三人の女のうち、秋山さんと真木さんの役は前半(一幕目)ではなかなか色分けが難しい。まだプレビューだしね。こなれて来れば問題なさそう。高田さん…言葉にならん。女の業とはかくも恐ろしや。田山さんがすごくいい味を出していて相乗効果も素晴らしい。

朧の森のセットがとても好きだ。次回の観劇は舞台に近くなるので楽しみ。

吉原御免状

2005/9/29 木曜日

青山劇場はオケピ(2000年6、7月)以来の二度目。座席はM列上手側。

SHINKANSEN☆PRODUCE いのうえ歌舞伎『吉原御免状』
松永誠一郎....堤 真一
勝山太夫.....松雪泰子
高尾太夫.....京野ことみ
柳生義仙.....古田新太

原作未読。まだ公演が続いているので細かくは書かない。

やっぱ、堤さんってカッコイイねぇ。アテルイ(あれはかなりやられたし、ちょっと惚れた。)から三年。更に隙の無さが増したカッコ良さだった。殺陣も凄いし出ずっぱりだし、ケツも見せるし(笑)。女優さんたちも良かった。炎が氷で包まれているような勝山太夫。その氷は絶対に内側からは融けないのに、誠一郎に会って外側からあっという間に融けてしまい、自らをその炎で燃やし尽くしてしまったようだった。松雪さんは舞台は二度目だそうだが十分の存在感。立派にヒロインを務めていた。糸を紡ぐ前の綿花のような高尾太夫。触れると柔らかくて暖かいのだが、簡単に握りつぶしてしまえそうな脆さを持つ。八百比丘尼が熊野に帰る時に呟いた高尾の一言はせつなかった。その八百比丘尼の高田さんは、ちょっと勿体ない気もしたけれど、必要最低限の笑いを振りまきつつ舞台を引き締めていた。古田さんはキッチリの脇にまわって、誠一郎が引き立つような位置にいたような気がするのだがどうなんだろう。

歌無し、お笑いシーン無しの新感線。新感線を観たなぁ、と言うよりはお芝居を観てきたという感じではあった。祭り感は無かったけれど(これは染さんが出演されていない新感線を観るのが初めてだからかも(苦笑)。)十分に楽しめたことは確か。実を言うと「歌が無いのよ、笑いも無いんだよ。」と自分に言い聞かせすぎたのか、最初のうち、どんなスタンスで観て良いのか戸惑うというか、ちょっと居心地悪いような感覚があったのだけれど、話が進むに連れて気にならなくなっていた。回り続ける舞台の方が気になっていた(笑)。

少し残念だったところを二、三。一部の役者さんのセリフが聴き取りにくかったというか、音響のせいだと思うのだけれどくぐもったような滑舌が悪いような感じに聞こえてしまった。まぁ、こちらが座っている位置の問題もあるのだろう。それと、やっぱり花道があったほうが良いよなぁ。これはホントに心底思った。芝居の雰囲気と劇場が合っていないような気もしたんだよなぁ。これについては、普段歌舞伎座とか客席の傾斜が緩い劇場でばっかり芝居を観ているせいかも(苦笑)。どれもこれも仕方が無い話ってことは十分理解して書いているので不快に思わないで頂きたい。

あ、最後に一言だけ。橋本じゅんさん、素敵だったわ。

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