アンカツの愛称で親しまれた安藤勝己騎手の引退が発表された。
笠松競馬場から2003年にJRAに移籍し、その前後問わず非常に活躍された名騎手である。
多少なりとも競馬をする方であれば知らない者は居ない存在だ。
私は今も昔も地方競馬のことは殆ど知らないので笠松での騎乗については分からないが、正式に移籍する以前からJRAのレースで騎乗しており、1995年にやはり笠松所属のライデンリーダーと共に報知杯4歳牝馬特別を制し、桜花賞の有力候補に名乗りを上げたときは大きな話題となった。
安藤騎手の活躍ぶりについては競馬に詳しい方々に譲るとして、今日は私の安藤騎手にまつわる思い出をひとつ。
札幌開催を見るために帰省した折、ついででとある場所に赴いた。
Tシャツに膝丈のサイクリングパンツ(っていうのかしら)というやたらラフな格好の私より少し背の低いくらいの細身の中年男性がいた。
絶対にこの人知ってる!とチラチラ見ているうちに、うわぁぁぁアンカツだよっ!と気がつき興奮した。
夏は北海道開催に滞在することが常であるアンカツが平日の昼過ぎに周辺に出没してもなんの不思議もないのだが、競馬場以外で、しかも完全にプライベートな状況で騎手を見るのは奇妙な感覚だった。
同行していた方が割りとせっかちに行動するのに対し、アンカツ自身はのほほーんとした様子で見ていて面白かった。(ジロジロ見るなよ、って話だが)
周囲はアンカツだと気づいておらず、というよりアンカツ自体を知らないようなので話し掛けてみようか散々迷ったものの、プライベートであり同行者も競馬関係者ではなさそうなのでやめておいた。
駐車場から立ち去る車のナンバーが名古屋か何処か明確には記憶していないが、とにかく東海地方のものだったので、自分の車を持ってきてるのか、夏中いるんだからその方が楽だよなあ、などとどうでもいいことに納得していた。
そして週末。
楽しみにしていた競馬は馬インフルエンザの影響で全ての開催が中止となり、アンカツの札幌での騎乗は見られなかった。
2007年8月、猛暑の夏の思い出である。