寒い日が続いても俳句の世界では二月はもう春。
季節の変わり目は雰囲気のある句になりますね。
- 豆食んで我が身心の鬼やらい
- 豆食んで我が身の内の鬼やらい
- ひっそりと鬼嫁やらいの豆をまく
- 雪折れの松に涙す窓辺かな
- 雪折れの音に怯えて吠える犬
- 白魚のいのちの光り川照らす
- 白魚や背中を泳ぐ君の指
- 朽ち果てた去年(こぞ)の種芋隠す人
- 朽ち果てた種芋隠す庭の裏
- 種芋や何も生まれず産みもせず
- 紅まぜてくちびるに咲かす梅の花
- 枝先の梅はほころび微笑んで
- 梅の花ほころびほほえみ咲くを待つ
- 白梅は夢のなかでは紅く咲き
- 旅の空季寄せ片手に春を待つ
- 春待ちの陽射したよりに目を覚ます
- 後朝に溶けて消えゆく春の雪
- この腕で抱きしめたのは春の雪
- 跡残し音飲み込んで春の雪
- 菜の花や苦みえぐみは恋の味
- 旅先で菜の花蝶と化すを知る
- 過ぎた恋春挽糸の切れるまで
- 夢うつつ春挽糸を手繰り寄せ
- 別れ告げ呼子鳥鳴く胸のうち
- ふらふらと我を導く呼子鳥
- 融かさずにとろけさせてとチョコ渡す
- 雨漏りのバケツ覗いて冬送る
- 吹く風の微かに緑(あお)く雨水かな
- 涙なく笑顔もなしの我は引鶴
- 雨音がいつの間にやら百千鳥
- 空見上げ我剪定の旅に出る
- 春の土転ぶ子供ら笑う声
- 盃を交わす人なき春炬燵
- 帯揚げを並べ合わせて春淡し
- 鳥雲に入るを見送り紅をひく