59句でした。
似通った句が多すぎて反省です。
- 春光や手のひらかざして命みる
- 春光や明日には我を照らしたまふ
- 春光やベランダに舞うタオルたち
- 満作やはかなさ装う自己主張
- 濡れ髪に触れるが如し満作や
- 満作や別れの朝の濡れ髪よ
- 思ひでを磯菜摘むよに抱き寄せる
- 思ひでを集めるように磯菜摘む
- 垣繕ふ(かきつくろう)主亡き庭誰を待つ
- 生垣を繕う背中来世でも
- 忍ぶ恋そっと見守る座禅草
- 思ひ出を紡ぎ偲んで座禅草
- 達磨草涙抱えて座するかな
- 旅立ちの涙は雪解雫(ゆきげしずく)かな
- 花の芽を雪解雫が撃ち落とす
- 枝々を雪解雫が綱渡り
- 盃に雪解雫の忌明けかな
- 忌日明け雪解雫を杯に取る
- 柳絮(りゅうじょ)飛び我も連れよと手を伸ばす
- 姿なき散歩の主は柳絮かな
- 春分や花の目覚めの遅きかな
- 春分かつ朝の寒さに草震え
- 春の雲ほどいて結び旅にでる
- 春雲に消える白球追う球児
- 引鶴を見送る空の暗きかな
- 引鶴や涙を旅の伴とする
- 観潮やスクランブルの交差点
- 観潮や集めた涙ながれゆく
- 海明や漕ぎ出せぬまま泊まる船
- 海明けて白きいかだのゆりゆられ
- 鷽が鳴くお前だけだと嘘をつく
- 鷽が鳴く貴方だけよと嘘をつく
- 鶯と鳴き競べかな孫の唄
- 図らずも鶯合(うぐいすあわせ)の妻妾
- 引鴨や見送る群も明日は立つ
- 風裂いて鴨の引きたる北の空
- 行く鴨に便り預けて後を追う
- 春装や集う女の姦しさ
- 春装やスカート揺らす川の風
- ものの芽や一歩目を出す難しさ
- 斑雪すずめ集ひてすべり台
- 花簪咲くも咲かぬも貴方次第
- ビルの壁映る朧の月夜かな
- 春の宵まだまだだなと燗つける
- 春の日に見え隠れするチラリズム
- 畦焼きて心変わりの鎮まらん
- 明けぬ夜はないと微笑む雪間草(ゆきまぐさ)
- 春陽差し馬の影駆る芝生かな
- 逢引を猫の眼草に覗かれて
- 新しきシャツに袖入れ目借時
- 種選び涙沈めて凛とする
- 春一番いつやいずこや現れず
- 渦潮や土俵覆いて綱ほころぶ
- 失った恋の傷みを取木せん
- 残り味噌茹でた野蒜で拭い取る
- ものの芽も隠れんぼする寒さかな
- ささくれた指で菜の花つまみ食い
- 蕨狩休息の水ひんやりと
- 旅立ちを末黒の薄に見送られ