2013年4月の俳句

  • 嘘ついて良いというのが嘘だから
  • 歌舞伎座にやうやうの春三年(みとせ)越し
  • 別れ霜融けた頃には姿なし
  • 朝帰り葉蔭に光る別れ霜
  • 晴れわたる空と裏腹別れ霜
  • 何処からか転がるピアス別れ霜
    (ユーミンだろ、パクるなよ!)(オマージュですテヘッ)
  • 憎くても憎みきれない別れ霜
    (今度はジュリーかよっ!)(いや、まあ、その…)
  • 恋なんて過去も未来も蜃気楼
  • 蜃気楼水温気温と不粋者
  • 往く道の先見えなくて蜃気楼
  • 蜃気楼いつかの夢の景色かな
  • 忘られぬその背中こそ蜃気楼
  • ゆらゆらと海市(かいし)は笑ふ負け犬を
  • 峠越え鐘の霞むを振り返る
  • 迷いびと春の霞のせいにして
  • 春霞晴れた向こうに何が待つ
  • 隠すだけ消せはしないわ春霞
  • 誰も来ぬベンチ洗うは菜種梅雨
  • 菜種梅雨仕方ないわと思えずに
  • 塞がれた炬燵忘れて三年(みとせ)なり
  • 塞いだは遥か昔の炬燵なり
  • 桜降る雨に混じりて桜降る
  • 傘とじるさくら色した水たまり
  • 放たれた言葉返らず葉の桜
  • 薺花(なずなばな)ささやき笑う少女たち
  • 虚しさの自己主張かな桜草
  • 派手なのは寂しいからよ桜草
  • 俯いた先で笑顔の桜草
  • およばれに二本抱えたヒヤシンス
  • 牧開き眠るよに立つ牛の群れ
  • 牧開き蹄の音や草を踏む
  • 牧開き聞き耳立てる仔馬かな
  • 酔い醒めて消えた女は花馬酔木
  • 目が覚めて消えた女は花馬酔木
  • 道ならぬ恋の入り口馬酔木かな
  • 着飾って隠す純情花水木
  • 瞼閉じいつかの笑顔花水木
  • 花水木届かぬ想い空高く
  • 花水木世間の風に乗り切れず
  • 花水木いついつまでもいつまでも
  • 藤棚をひとり見下ろす鬼瓦
  • 藤棚や見上げてほぐす肩の凝り
  • 春筍や我が物顔で店先に
  • この想い積もり積もって八重桜
  • 鈴なりの八重の桜をくぐる道
  • 見下ろした里はやわらか八重桜
  • マカロンかマシュマロかしら八重桜
  • 網戸越し蜂と私のにらめっこ
  • 出迎えは一人静の寂びた宿
  • ためいきは一人静の咲く庭で
  • 藤の花ゆらり揺れるはふたごころ
  • 海下りん肩に竿網引っ掛けて
  • 磯開腰を下ろした岩温(ぬく)く
  • きらきらと笑ふ波間や磯開き
  • この細い道を抜ければ磯開き
  • いそいそといそびらきだといそぐひと
  • 春時雨妻のご機嫌ななめなり
  • せせらぎのなかで摘む花山葵かな
  • 日を避けて入る裏庭竹の秋
  • 竹秋やがさりがさりと風の鳴り
  • せせらぎと錆びた看板昭和の日

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