- 別れ霜融けた頃には姿なし
- 朝帰り葉蔭に光る別れ霜
- 晴れわたる空と裏腹別れ霜
- 何処からか転がるピアス別れ霜
(ユーミンだろ、パクるなよ!)(オマージュですテヘッ)
- 憎くても憎みきれない別れ霜
(今度はジュリーかよっ!)(いや、まあ、その…)
- 恋なんて過去も未来も蜃気楼
- 蜃気楼水温気温と不粋者
- 往く道の先見えなくて蜃気楼
- 蜃気楼いつかの夢の景色かな
- 忘られぬその背中こそ蜃気楼
- ゆらゆらと海市(かいし)は笑ふ負け犬を
- 峠越え鐘の霞むを振り返る
- 迷いびと春の霞のせいにして
- 春霞晴れた向こうに何が待つ
- 隠すだけ消せはしないわ春霞
- 誰も来ぬベンチ洗うは菜種梅雨
- 菜種梅雨仕方ないわと思えずに
- 塞がれた炬燵忘れて三年(みとせ)なり
- 塞いだは遥か昔の炬燵なり
- 桜降る雨に混じりて桜降る
- 傘とじるさくら色した水たまり
- 虚しさの自己主張かな桜草
- 派手なのは寂しいからよ桜草
- 俯いた先で笑顔の桜草
- 牧開き眠るよに立つ牛の群れ
- 牧開き蹄の音や草を踏む
- 牧開き聞き耳立てる仔馬かな
- 酔い醒めて消えた女は花馬酔木
- 目が覚めて消えた女は花馬酔木
- 道ならぬ恋の入り口馬酔木かな
- 着飾って隠す純情花水木
- 瞼閉じいつかの笑顔花水木
- 花水木届かぬ想い空高く
- 花水木世間の風に乗り切れず
- 花水木いついつまでもいつまでも
- 藤棚をひとり見下ろす鬼瓦
- 藤棚や見上げてほぐす肩の凝り
- この想い積もり積もって八重桜
- 鈴なりの八重の桜をくぐる道
- 見下ろした里はやわらか八重桜
- マカロンかマシュマロかしら八重桜
- 出迎えは一人静の寂びた宿
- ためいきは一人静の咲く庭で
- 磯開腰を下ろした岩温(ぬく)く
- きらきらと笑ふ波間や磯開き
- この細い道を抜ければ磯開き
- いそいそといそびらきだといそぐひと
- 日を避けて入る裏庭竹の秋
- 竹秋やがさりがさりと風の鳴り