2013年5月の俳句

  • さようなら勿忘草を背に隠し
  • 古本に勿忘草のしおりかな
  • 暮の春遠回りする散歩道
  • 暮の春待ちきれず飲む一杯目
  • 爪先に立夏の湖(うみ)は冷たくて
  • 色褪せた恋や立夏に蹴散らされ
  • 立つ夏に恋の淡色塗り替わる
  • 飛行機の引く雲の先夏に入る
  • 石投げて夏は来たかと向こう岸
  • サンダルに覗く新緑爪の先
  • タワーから新緑の街飛び降りる
  • 新緑や水無き池に映る影
  • 薫風や校庭の声響く午後
  • 夜半の雨憂きもの流し薫る風
  • ふらふらと夏の蝶飛ぶ夜の街
  • 溜め息は夏の蝶へと姿変え
  • 夏の蝶白いレースの揺らぐ窓
  • 虞れずに摘んで笑ふひなげしや
  • 雛芥子や群れている様(よ)で孤独なり
  • 白浜や風の隙間に夏兆す
  • 触れ合った肌にじわりと夏兆す
  • 線香を立てて走り茶あなたにも
  • 里帰り新茶携え団子提げ
  • 都会来て海鵜の中の川鵜かな
  • 恨みごと水面に放ち鵜に呑ます
  • 彷徨うは卯月曇の夢のなか
  • 終わらない卯の花曇恋占い
  • 逢えぬひと卯月曇が晴れたなら
  • 甘藍や滴る水に塩溶ける
  • 持たずともずしりと重いキャベツかな
  • 雀らが甘藍畑でかくれんぼ
  • お見舞いの夏蜜柑いろ鮮やかに
  • 夏蜜柑皮に入らぬ指染まり
  • 夏蜜柑無言で食す母娘
  • 小満や歩く浜辺は凪の朝
  • 小満や昨日の雨の傘を干す
  • 畔道や風と駆けっこ麦の秋
  • 髪伸びて切るか結くか麦の秋
  • 麦秋やスクランブルに人の波
  • 青嶺より青き芝行く駿馬かな
  • 旅の友連れ添うはただ青嶺のみ
  • 青嶺より見渡す青嶺遙かなり
  • 見渡せば青嶺の先にまた青嶺
  • 窓枠という額縁に青嶺かな
  • 凛として後はよろしく花胡瓜
  • 着信の音より先にほととぎす
  • ほととぎす夢の中には現れず
  • 涙枯れ青梅雨求む心かな
  • 置き去りの我にそぼ降る迎え梅雨
  • ため息をんっと堪える走り梅雨
  • 梅雨入りを待って切り出すサヨウナラ
  • 梅雨入りやレインパンプスいざ出陣
  • 梅雨入りに喩えて恨み辛みごと
  • 頬撫でる南風(はえ)や涙のしお辛く
  • 君仰ぐ扇子に合わせシャツ選ぶ
  • 扇子閉じ立ち上がる君花子かな
  • 緩やかに動く扇子の催眠術

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