今年3月の初め、江戸時代の浮世絵師、喜多川歌麿の代表作で戦後行方不明となっていた「深川の雪」が発見されたとの報道があり、ちょっとした話題になった。
「品川の月」「吉原の花」とともに三部作「雪月花」の一つとして知られ、縦2m横3m50cmの大きな掛け軸である。
4月から6月にかけて箱根小涌谷にある岡田美術館に展示されると知り、その大きさも体感したくて箱根まで行ってみた。
小涌谷の駅からバスで二つ目で、ユネッサンのすぐ近く。
歩いても15分くらいかな。
迷ったけれど、2時間ドラマみたいに事件に遭遇しては困るのでバスに乗車。
入り口を抜けると正面左手に足湯カフェ、右に美術館。
美術館の裏側には庭園がある。
庭園入口にはこの5月からオープンしたというカフェがあった。
今後、食事もできるようになるという。
このカフェ、あのコピ・ルアクが飲めるのだ。
が、私は普通の珈琲にしておいた。
都内に比べて驚くほどお手頃価格だったし、話の種に飲んでも良かったけれど聞くところの味や香りが好みじゃないっぽいのよね。
で「深川の雪」はどうなったって?
観てきましたよー(笑)。
照明を落とした室内に掛けられた「深川の雪」はしっとりと美しく、大きな作品だった。
料亭の二階座敷に描かれた二十七人の女性たち。
深川芸者の粋なのか、藍色の着物を着ている女性が多いのも私好み。
少し離れたところに立ち、ガラスに張り付いて鑑賞する人々を何人もやり過ごしながら眺めた。
時折人波が途切れて全体図が現れると、作品にあてられた照明のそれとは異なる明るさが辺りを照らす。
少し混んできてしばらく人の切れ間がなさそうだったので、他の収蔵品を一通り鑑賞して「深川の雪」に戻った。
作品の近くには小さい写真ではあるが「品川の月」「吉原の花」が紹介されており、見比べてまた「深川の雪」を眺める。
江戸とはどんな街だったのだろう、江戸の女ってどんなだったのだろうなどと考えながら美術館を後にした。
「深川の雪」を堪能した後は特にすることもなかったので、前述のカフェで珈琲を飲んで東京に戻った。