- 若葉雨傘もささずに原宿
- 若葉雨空明るいしすぐ止むわ
- 引き留める口実探す若葉雨
- 梅雨空や座敷童と隠れんぼ
- さみだるる蹲に咲く波紋かな
- 傘のうちさみだるるのは涙かな
- さみだるる別れのあとの出逢いかな
- さみだるる軒の端より白い腕
- さみだるる軒端より出づ白い腕
- 後朝(きぬぎぬ)の言葉少なにさみだるる
- 青梅雨や黄色い長靴水たまり
- 青梅雨の香り抱き込み閉じる傘
- 庭の石星散りばめて苔清水
- イエルは風に流され芒種かな
- 鈴なりのカンパニュラたちそっぽ向く
- 夕日落ち蛍袋の灯も消える
- 行道を蛍袋に案内され
- 桜桃の実はまだ黄色若々と
- 桜桃の軸先に取り食べる人
- 桜桃の実に顔寄せてキスの真似
- さくらんぼ生クリームに沈めたい
- さくらんぼ軸絡まって恋模様
- 賑やかね顔はひきつる夾竹桃
- 解いた帯纏う襦袢の緋鯉かな
- 酔い醒まし庭の緋鯉とにらめっこ
- ピンヒール浮き世さ迷う緋鯉かな
- 風は凪温む田水や早苗月
- 早苗月子らの背丈や伸び伸びと
- 明早し映画三本いつの間に
- 明早し帰る背中も見せぬひと
- 賑々と空に向かいし今年竹
- 今年竹去年来年再来年