昨年の俳句は明日、お送りします。
2012年は自分で読み返してみても好きな俳句が多いんですよね。
- 秋寂びて書店でめくる旅雑誌
- 秋寂ぶの書店でめくる旅雑誌
- 秋寂ぶや旧き友らに便りする
- 秋寂ぶや夕げの香りが押し戻す
- 秋寂びの背中見送る通夜の席
- 秋寂ぶの街・人・涙・晴れた空
- 秋寂の夜は互いに騙されて
- 漸寒(ややさむ)の朝の別れは耐え難し
- 漸寒や薄着を悔いて急ぎ足
- やや寒や吐く息はまだ白くない
- 立ち待ちの月見下ろしてやや寒し
- 晩菊や知られずに散る運命(さだめ)かな
- 遅咲きの菊を携え墓参り
- 洗い髪頬に冷たく冬隣
- 行く秋や雨に濡らした裾重く
- 行く秋を惜しむ間もなくクリスマス
- 行く秋の背中抱きしめ泣いたふり
- 行く秋やエスプレッソとチョコレート
- よっこらしょ重い腰上げ冬立ちぬ
- 縄跳びの縄は鞭ではありません
- 縄跳びや夕陽とともに二人跳び
- 縄跳びに寄っては逃げる子犬かな
- ドヤ顔で二重跳びする近所の子
- 病から床上げて見る帰り花
- 散歩道帰り花見て引き返す
- 帰らぬと駄々こねてみる返り花
- 境内の帰り花見てこころ晴れ
- 歌舞伎座の破風見上げてや帰り花
- 焼鳥の串くるくるとひとり酒
- 焼鳥の串一本につき猪口一杯
- 焼鳥や相手の串を数えてる
- 焼鳥や隣の串を数えてる
- 焼鳥や塩とたれとで意地を張る
- 川面から吹き上げる風枯柳
- 濁る池映る柳の枯るるかな
- 水鳥の浮かぶ水面はあかきいろ
- 里山に押し寄せる冬止まる時
- 初雪や白きベールが覆う街
- 言い掛けた言葉とともに蕎麦湯飲む
- 唇を湿らす湯気は蕎麦湯かな
- 薄味の蕎麦湯のやうに浅き仲
- 夜話(よばなし)の声の甘さに眠り姫
- 夜話や声の甘さに眠り姫
- 夜話に騙され迎えた二日酔い
- 夜話や朝まで指に触れもせず
- 小雪や粥に浮かべた匙沈む
- 小雪や足踏みしながら待つ信号
- 小雪や障子越しの陽弱々と
- 小雪や煮炊きしながら暖をとる
- いい夫婦(1122)誰が評価をするのやら
- 木枯らしに負けないなんてきれいごと
- 木枯や頬赤く染め誰を待つ
- 木枯やペダル踏みしめ立ち向かう
- 芭蕉忌や人生をたびと読んでみる
- 芭蕉忌や見上げる空に雲はなく
- 芭蕉忌や我が道未だ見えてこず
- 芭蕉忌や生きていくことそれが旅
- 色移る空見上げてか冬木の芽
- 見られたい見られたくない冬木の芽
- 触れようと出した手を引く冬芽かな
- 言い出せず恋の冬芽をあたためる
- 庭先の冬芽数えて恋占い
- 迷い道戸惑う我は千鳥かな
- 人波に飲まれし我は千鳥かな
- 切干や戻し忘れた朝の悔い
- 切干やもとに戻れるわけじゃなし
- 切干や器の白さ眩しくて
自由律俳句
- フライドポテトをやり過ごし石焼き芋に耐え忍ぶ
- あのよろし二の腕に青たん手札に赤たん
- 掻き集めるつもりで実は掻き集められている酉の市
- 西ではないの酉なの