2012年12月の俳句

思ったより年の瀬らしい俳句が少ない、かな。

  • 寄鍋や蓋からのぞく葱の青
  • 湯気のぼる寄鍋の蓋まんまると
  • 見えそうで先の見えない冬木立
  • 冬木立薄闇に差す光かな
  • 冬木立見上げる空の雲低く
  • 冬木立見上げる空の低さかな
  • 冬木立重なる腕の哀しさよ
  • 冬晴れの空にのぼりし傾(かぶ)き者
  • 麦の芽や気づかれずともそこにある
  • 麦の芽やきっと待ってて待っていて
  • 街路樹に揺れる電球冬深し
  • マフラーに絡まる風や冬深し
  • 夜空澄み息吹きかけて冬深し
  • 吐く息の冬深まりて路地に立つ
  • 闇は濃く星散りばめて冬深し
  • 凍空(いてぞら)や灰色の波岩叩く
  • 凍空へ続く山道閉ざされて
  • 凍空や見下ろす屋根の無表情
  • きみの目が凍空の様に突き刺さる
  • ひとり生き睨む凍空明日はくる
  • 膝掛けや読み掛けの本受け止めて
  • 肩掛けに片想いする膝掛けや
  • 袖通すコート冷たし別れの日
  • 雑踏で見上げたビルの冷たさよ
  • 底冷えの朝は布団と駆け落ちす
  • 線香の煙り冷たし墓前かな
  • 年の内捨ててしまうの何もかも
  • 買い物のとりとめなくて年の内
  • 積ん読の山と闘う年の内
  • 誰も彼も疲れた笑顔年の内
  • ささくれに蜜柑の染みてしかめ面
  • 寒禽に返事しながら身支度す
  • 寒禽やゆらゆら伸びるビルの影
  • 空模様顔色伺い冬至かな
  • 空模様心灰色冬至かな
  • 冬至なり鬼もそろそろ笑わぬか
  • 注連売(しめうり)や乾いた風に嗄れ声
  • 輪飾を握る赤子をあやす人
  • 往く人を見送り枯野にひとり立つ
  • バイク駆るピザ屋サンタの出で立ちで
  • ほろ酔いの醒めて見上げる荒星(あらぼし)や
  • 荒星や旅の結末訊いてみる
  • 凍て星の見送るふたり忍恋
  • 白息や消えるを数え待ちぼうけ
  • 息白しオープンカフェでやせ我慢
  • 空風や背中押してと回れ右
  • 室咲きの鉢を横目に葬の列
  • 納まらぬ仕事むりやり納め呑む
  • 歳晩や持ち越す夢を数えつつ
  • 歳晩や曜日感覚何処へと
  • 歳晩や窓から見下ろす交差点
  • 新たなる出会い求めて暦果つ

 

自由律俳句

  • 二人が見上げる凍空は全く別の空の色
  • 吸い込む風の冷たさに鎮まる恋の焔かな
  • 目覚めたは夢見か虎落笛(もがりぶえ)の音か
  • 仕事納めというけれどこの恋だけは納められない

 

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