二日に一昨年の俳句を掲載して「昨年の俳句は明日…」などと書いておりましたが体裁を整えるに至らず遅くなってしまいました。
こうして毎月初めに前年同月の俳句を掲載するようになって何年経つかしら。
年々ヤバくなっています。
昨年は惨憺たる状態で、年末に向けて尻すぼみになっていきます。
まだ1月は数だけは作っていたのですね。
今年はどうにかしたい。
- 何がどうめでたいのかと今朝の春
- 眩しくてつい引きこもる今朝の春
- 初春や風見鶏ほら南向き
- 初春や真新し服袖通す
- 初昔男の声の記憶なし
- 初昔女の顔の記憶なし
- 初昔忘れたくても忘られぬ
- 初昔同じ過ち繰り返す
- ようやくの休み迎える四日かな
- 空港で土産買い込む四日かな
- ゴミ回収待ってしたと四日かな
- 小寒や枯れた田んぼに射す薄陽
- 小寒や雲の白さに息を吐く
- 小寒やカレンダーの売れ残り
- 小寒やホットワインの湯気に酔う
- 七草や五つ目からがうろ覚え
- 松過ぎて残る飾りの藁ひとつ
- 葉牡丹の隙間に隠す指輪かな
- 夕闇に空吸い込まれ凍(い)つる街
- 踏み出した黒い雑踏凍つるかな
- 沈む陽や今日という日の凍つるかな
- 人生の枯野の果てや座礁船
- 目覚めれば独りの朝は枯野かな
- サヨナラに泣き疲れた夜枯野かな
- 乗る人も列車も来ない枯野かな
- 枯野行く列車の窓に映る人
- くしゃみして見上げた空に冬北斗
- 冬北斗進む道なき道示す
- 悲しみを掬いあげるは冬北斗
- 散歩道お供に連れる寒北斗
- 寒月や想い出だけが浮かぶ闇
- 青空に浮かぶ寒月交叉点
- 寒月や見下ろす世界蟻地獄
- 寒月や抱き寄せられた肩越しに
- 寒月や見つめられ頬染める夜
- 寒餅を結わく手の皺里帰り
- 出迎えは揺れる寒燈無人駅
- ぽつぽつと冬の灯の咲く峠道
- 風花の舞う淀馬群に息詰める
- 大寒や今日も世間に悪怯れず
- 大寒や水面の湯気をすべる舟
- 大寒や気づいて戻る夢の中
- 大寒やそっとブーツに入れる脚
- 蝋梅や触れて崩れる砂糖菓子
- 隼を追って峠のペダル漕ぐ
- 木炭で描く藁屋根蕪村の忌
- 寒鮃釣れた男はつれなくて
- 寒鮃添えるわさびとつま辛く
- 一滴の雨に震える冬の梅
- 寒梅や匂ひとじ込め雨宿り
- 寒梅や黒塀の先ひっそりと
- 紫煙より吐息重たし冬深む