案外春らしい俳句が作れているのではないかと思います。
下手の横好き自画自賛。
- 春帽子洒落たつもりが悪目立ち
- 春帽子風に飛ばされ駈ける児ら
- 春北風(はるならい)窓辺に干した傘二本
- 春北風廃線覆う草の波
- 知らぬふり聞こえぬふりは磯巾着
- 息とめてページ繰る音遅日かな
- 春雨と呼べる程度の降りでお願い
- 啓蟄や一人暮らしも慣れた頃
- 啓蟄や心ばかりが先走り
- 啓蟄やころころ笑ふ赤子かな
- 啓蟄や吹き荒れる風身を潜め
- お隣と根分け差し上げ頂いて
- 母の郷根分けの鉢を受け取らん
- 荷造りに手間取るうちに鶴帰る
- 引鶴と無言で過ごすモノレール
- 引鶴や残される身の色褪せて
- 柳の芽数える女(ひと)の見えぬ足
- 眠りなさい揺れる芽柳催眠術
- 柳の芽別れを告げる通学路
- 膨らむは期待と不安柳の芽
- 春嶺と空の隙間に線を引く
- 春嶺や高層ビルにかくれんぼ
- 春嶺や進め歩けと世知辛く
- 春嶺や裾野の先に傘の峰
- 春嶺や空路陸路の辿る果て
- 春分や風吹き荒れて綱転ぶ
- 春分や香のたなびく墓前かな
- 春分や往路復路の真ん中で
- 紫雲英田(げんげだ)を歩幅で測る散歩道
- 紫雲英田に見え隠れする子らの声
- 春コートその一瞬に賭ける恋
- 春コート旬は短し乙女たち
- 春コートボレロのリズムで歩く街
- 待ち合わせ裾ひるがえす春コート
- 靴コートストール一気に春仕様
- 初花や愛でてめでたき門出かな
- 傘閉じて瞳の奥の初花や
- 初花に誘われ雨の散歩道
- 初恋は蕾のままの桜かな
- りん鳴らす忌明けの朝の雲雀かな
- 鼻歌のバックボーカル揚雲雀
- 坂道を駈け出した子ら雲雀かな
- 木蓮の下で散華の降るを待つ