初夏から夏に移るのが速いのは気のせいではないですよね。
季節のつなぎ目をもっと感じたいものです。
では、昨年五月の俳句をどうぞ。
- 朝の道めじろ飛び立つ静寂かな
- めじろ鳴き友の墓まで案内する
- 赤い糸ほどいて飛ばす麦の風
- 麦の風なにも運ばずだれも来ず
- 麦嵐髪結い直す手の定まらず
- 麦嵐ペダル漕ぐ足止めてみる
- 卯月波別れ話のリフレイン
- 短夜の目覚めた横に姿なし
- 線香の番をする身や明易し
- 明易しゴミ出しの日を間違わん
- 始発まで飲んで騒いで明易し
- くだ巻いて店追い出され明易し
- カーテンの合わせに隙間明易し
- 夏木立走り抜けたる駿馬かな
- 竹落葉踏んで振り向くひと殺し
- 竹落葉風に吹かれて舟となる
- 指先で竹の落葉を赤く染め
- 竹落葉重なり合うて息絶える
- しのぶればもたれた竹の葉の散らん
- 竹の葉散る探し物などありません
- 何処から竹の葉の散る散歩道
- 竹の葉の散りて見えなくなる昨日
- 揺れる風折り目新し麻暖簾
- 麻暖簾折り目も未だ新しく
- かんざしを引っ掛け腕押し麻暖簾
- 麻暖簾香のけむりをやり過ごす
- 箱釣や少し近づく君の頬
- 箱釣や三尺踏むも気づかずに
- 葉柳やもいで一枚栞とす
- ペディキュアの刷毛揺れるかな夏柳
- 陽の光射止めて揺れる夏柳
- 夏柳縄のれんかと思いきや
- 朝ぼらけしなだれかかる夏柳
- 頬撫でる風知らぬふり夏柳