「夏至」を使ったのは一句だけでした。
今年の夏至は私の誕生日にぶつかるので頑張りたいと思います。
ってホントかよ!
では、昨年六月の俳句をどうぞ。
- 野茨の向こうに住むはよそ者か
- 野茨や咲いてた空き地今は無し
- 甘藍の転がるさまの歪なり
- 青空に列為す甘藍ずっしりと
- 甘藍や握る包丁すます耳
- 真二つに切った甘藍瑞々し
- 甘藍の浅漬け食らふ冷酒や
- 置き去りの砂場のバケツ落とし文
- 陽に乾き風に転がる落とし文
- 振り向いてくれる人無し落とし文
- 振り返ることなき世かな落とし文
- 落とし文気づかれぬまま踏み踏まれ
- 在りし日の言葉唱える落とし文
- 雨音が鼓動かき消す芒種かな
- 糠床を返す手白き芒種かな
- 長靴を買って喜ぶ梅雨の入り
- 梅雨入りや待ちわびるのは中休み
- 梅雨入りやスカイツリーの空低く
- 十薬や手折る勇気のない貴方
- 十薬や皆でこちらを向かないで
- 雨雲より早く着きたし墜栗花穴(ついりあな)
- 数えても仕方ないこと蛍火や
- 蛍火や出会った途端見失う
- 蛍火のやうな命と諦める
- 蛍火や浮き世の隙間飛び回る
- 爪の先描く蛍火心浮く
- 忍び逢ひ重なる影は蛍火か
- 蛍火や見え隠れする恋心
- 雨過ぎてただただ光る植田かな
- 吐く息に青の混じりて植田かな
- 結び目の無い人生や糸蜻蛉
- 糸蜻蛉どうか繋いであの人と
- ゆらゆらとふらりふわりととうすみや
- とうすみや女の髪と見間違う
- とうすみや浮き世かき分けすり抜けて
- 竹植うて指と指とで測る節
- 竹植えて巻きつけてみる赤い糸
- 鉢植えの竹眺むれば風動く
- 竹植ゑて狭い世間を覗き見る
- 桑の実や酸いも甘いも噛み締めて
- 桑の実や握りつぶした恋ひとつ
- 桑の実の粒を剥がして数えおる
- 桑の実を浮かべた水やきらきらり
- 桑苺そっと潰して紅をひく
- 桑苺握る赤子の小さき手
- 雨粒にふっくらとして桑苺
- 短夜やバーボンソーダウディ・アレン
- 短夜やそのオリーブは食べますか
- 短夜やロングドリンク二杯まで
- 短夜や出逢いおしゃべり酒の瓶
- デキャンタの底乾きけり短夜や
- 夏至の夕照明灯る野球場
- 本心は目先の得か囮鮎
- さよならを云うために逢う囮鮎
- 惨めなり金魚草まで嘲笑う
- かしましく咲いているなり金魚草
- ヨチヨチと金魚草までたどり着く
- 金魚草きらりきらりと泳ぎけり
- うたた寝て畳に転ぶ江戸切子
- 酔うた振り切子ささえる白い指
- 差し向かう四十九日の切子かな
- 蒼い花切子に浮かべ眺めおる
- 逢引のボート漕ぐ背に覚えあり
- 喧騒にボート浮かべて身を隠す
- 冷や汗で涼しくなりぬボート漕ぎ