自由律を含めて52句出していました。
意外と梅雨の句がないんですよね。
去年の自分の方がいい感性してるわ(苦笑)。
- 見上げれば我を見下ろす皐月富士
- 昨夏の服を着られてほっとする
- 眩しきはきみの笑顔か夏服か
- 子供らが土遊びする芒種かな
- ゆりかごを畝間に置いて芒種かな
- うたた寝て日没前の芒種かな
- 梅雨入りや木々の緑にむせ返る
- 梅雨入りや緑の匂い深々と
- 梅雨入りや苔むす石は鮮やかに
- 折り傘は降らぬ御守り梅雨かな
- 梅雨寒の夕暮れひとり待ちぼうけ
- 梅雨寒やしずく受けとめ震える葉
- 紫陽花が雨を待つよに咲き始め
- 紫陽花や活けて座敷にそよぐ風
- 紫陽花の降る雨静か午後の庭
- どしゃ降りを笑う紫陽花揺れる朝
- 紫陽花の角を曲がれば青い空
- 咲き誇る孝行娘茄子の花
- 庭のすみ数え唄する茄子の花
- 見せ掛けの淡さ優しさ茄子の花
- 茄子の花枯れて始まる身の運命
- ギヤマンが波間に揺れてかくれんぼ
- ギヤマンに弾ける泡は緑色
- 歪むのはギヤマン越しの此方かな
- 横顔を見やる褥の明易し
- 夜更かした休みの朝も明易し
- 短夜の嵐に備え帰宅の途
- 短夜の目覚めて今朝は雨となり
- 夏至の陽が落ちるかのよに恋に堕ち
- 街の灯が点って気づく今日は夏至
- 夕闇がネオンに変わる夏至の夜
- 日没に待ち合わせする夏至の恋
- 指先の痛い思い出薔薇の庭
- 水張られ田に青空が降りてくる
- 桑の実で染めた唇押しあてて
- 恋すれど桑の実ほどに甘からず
- 夕闇が照らす桑の実潰す指
- 藻の花を星に見立てて昼寝かな
- 亡骸は花藻に包まれ水の底
- 藻の花や岸に寄せたり離れたり
- 花藻摘み我もいつしか水の中
- 葛切や指の黒蜜ひと舐めす
- 幼子や葛切りを食み首傾げ
- 冷たきは河鹿の声か川水か
- 苔茂る城跡の朝ゆるやかに
- 校庭の塀の隙間の苔青し
- ヒルガオにさよなら三角また明日
- 恋占い切れたら負けよさくらんぼ
- さくらんぼ最初に食べよか後にしよか
- 竹笊の網目に掴まるさくらんぼ
自由律
- 月と思って見上げたら街灯だった夏の宵
- 竹のように生きるつもりが笹舟のように流される