昨年の八月は50句(うち5句は自由律)でした。
いやぁ、今年は感性が鈍っているわ。
こうして見てみると今年も似たような句を詠んでいるのです。
夏雲にはビル、蝉時雨には追い立てられるが好きらしいです(苦笑)。
- 八月だ八月だよという貴方
- 薄雲が風に流され十三夜
- パナマ帽気取る貴方のシルエット
- 真夏日にそっとぶぶ漬け出してみる
- 武将らが再会果たすねぶたかな
- らっせらぁの声にあわせて揺れる孫
- 明々とまぶたに映るねぶたかな
- 立ちすくむ我にかまわぬ阿波踊
- 阿波踊眺めるうちに囃子消ゆ
- 夏空やビルの林に映る雲
- 夏雲の波間漂う飛行船
- 立秋と言い聞かせ出る午後の街
- 夏木立どしゃ降りあとのしずく雨
- 参拝に事寄せ通う甘酒屋
- 甘酒に口をすぼめる孫娘
- ほおずきと偽り与えるプチトマト
- 鬼灯を開こうとしてあら失敗
- するすると開けた障子にバッタ追う
- 手のうちにいた筈のバッタ姿なし
- 蝉が鳴くあっちへ行けと蝉が鳴く
- 蝉しぐれ不義のふたりを追い立てる
- 色のない風を求めて北へ行く
- 色のない風を求めんいざ北へ
- 色のない風がうなじを滑る午後
- 探しても色なき風は見つからず
- 空の果て色なき風が雲流す
- 丘に立つ晩夏の風になびく髪
- 防波堤釣人の影晩夏かな
- 秋海棠(しゅうかいどう)むかしむかしあるところ
- 路地裏の秋海棠も今はなく
- 秋雨やもそっと北へ北へおじゃ
- 兼用の日傘携え初秋かな
- 珈琲の味濃くなりし初秋かな
- 初秋やビルの谷間の空青く
- ほろ酔いのベンチで語らう星月夜
- 街の灯を星月夜にして離陸せん
- 処暑の午後うたた寝て乗る電車かな
- 夕暮れの僅かな処暑にしがみつく
- ホップ摘むにわか農夫の笑い声
- 両の手で抱えた篭はホップの山
- 駒出でよ出でよ出でよと瓢(ひさご)振る
- 瓢提げ酔うたふりして泣いてみる
- あてもなくさ迷う先は夏の果て
- 断崖で眺める地の果て夏の果て
自由律
- 熱帯夜今夜も当たり前のように
- 暑いねとひとりごと夏だからねとひとりごと
- ペルセウス座流星群を五七五にねじ込もうと四苦八苦
- 夏の恋ロマンスとロマンがすれ違って秋
- 一面に広がるひまわり畑の黄色を例えようとしたらひまわりしかなかった
- 月は満ちるが心は満たされぬままの八月尽