歌舞伎座 六月大歌舞伎・参

昼の部、二回目(一回目の感想はこちら)。1階一桁列20番台。天ざる。

前回は主に凄みと迫力の感想を書いた「輝虎配膳」秀太郎さんの越路。今回は前半の娘に対する懐かしさの表情がとても印象的で、芝居全体の空気の流れ、緊迫感が徐々に高まっていく様をより感じることができたように思う。この日は膳が一度でひっくり返らず、お椀がちょっと遠くに転がっていったけれど、梅之さん、大丈夫でしたか?(笑)

忠兵衛の出は掴みO.K.って感じで、客席の空気がふわっと花道の方に流れた。この日の客席の雰囲気は染@忠兵衛と孝@梅川にとても好意的だった(私はいつも好意的)。忠兵衛の何が前回と変わっていたかと尋ねられても難しいのだが、色が違った…と説明にならない説明をしてみる。井筒屋と離れたとこにいる忠兵衛の周りもほんのりピンクがかっているように見えた(と、ココまで来ると私は病気なので気にしないで下さい)。やっぱり“ふにゃふにゃ”というより“くにゃくにゃ”って感じかな。もうちょっと、もう少し何かがあるような気がするんだけれど、んー、関西人じゃない私にはわからないわ。でも、きょとんとした顔がめちゃくちゃ可愛いから良し!ってそういう問題じゃないけど。そして梅川。忠兵衛を見つけた時の嬉しさ炸裂前回比十倍増(筆者調べ)。この瞬間の梅川の姿と「忠ぅぅぅぅさぁぁん!」が頭に焼き付いて離れん。あまりにも無邪気な梅川に、私の頭ん中のこの後に待っている悲劇が吹っ飛んだ。裏口での二人のやり取りで、染さんったら同じことを二回言ったような気がする(笑)。でも拗ねた顔がめちゃくちゃ可愛いから良し!(私は病気なので無視して下さい)。八右衛門にガシガシやられて封を切るまでのテンションの上がり方が凄く好きだったなぁ。こんな風に入り込んで観ることができたのは、最初に頭の中を吹き飛ばしてくれた梅川の無邪気さのおかげなのかもしれない。お金の出所を聞かされて奥に倒れこんだ梅川の「どぉしょぉぉっ」。前回も書いたけれどココやっぱり好き。そして忠兵衛にしがみついた時の梅川のせつなさ前回比十倍増(筆者調べ)。なんかさ、孝太郎さんがすっごく小さくなってて染さんの懐の中にすっぽり入っちゃったような記憶が残っているんだけれど、そんな感じで抱き合ってた…よね?とにかくこの日の「封印切」の記憶は、実際はともかくそういうイメージに支配されてしてしまっている。

「新口村」の最初。姿を現した二人が異様に綺麗に見えた。なんだ知らんが、とにかく綺麗だった。で、一瞬、奇妙な感覚に襲われた。なかなか言葉にしても伝わらないと思うのだけれど、自分がそこにいない感覚。いや、でもいるんだよ。身体からは離れていないから幽体離脱とは違う…って、書いていて馬鹿らしくなってきたからこの辺でやめておこう。どうせ私はちょっとおかしいんだよ。孫右衛門は前回より温かみが勝っていたと思う。すごく悲しい温かみだけれど。

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この昼の部・二回目は中日ちょい過ぎの観劇(先にエントリーした夜の部と同日)。一回目の観劇感想の最後に「次回はもっとすっきりとした感想を…」等と書いておきながら、ダメダメな感想になってしまった。書き直しても意味がないのでそのままエントリー。次回は千穐楽前日に昼夜観劇の予定。明日じゃん!

2 thoughts on “歌舞伎座 六月大歌舞伎・参

  1. AZUKI

    初めまして。
    24日金曜日の歌舞伎座昼の部を観てきましたので、コメントさせていただきました。
    私は、片岡孝太郎さんのファンなのですが、
    梅川については、「そう、そう、その通り!」といった感じで見事に表現してくださっていて、
    嬉しく嬉しく拝読させていただきました。
    そうですよね?、私も梅川が小さくなったような気がしました。
    前々回の「壱」の感想で、
    忠兵衛がしでかした事を梅川が「ふたりのしたこと」としていた、と書いていらっしゃったのが、
    とても心に残っていて、
    今日、その芝居のところで、「ああこれなんだー」
    と感激しました。
    染五郎さんは、本当にくにゃくにゃしていて、
    そこがとても良かったです。
    後に、わかっていても罪を犯してしまう弱さを感じさせて、
    忠兵衛も守ってやりたい気持ちになりました。
    他には仁左衛門さんの忠兵衛を観たことがあるだけですが、
    よりせつない、つらい封印切に思えました。
    今日25日もいらっしゃるとのこと、
    感想の「四」を楽しみにしています。
    初めて伺って、つい長々書いてしまい、
    すみません。

  2. zucchini

    AZUKIさん、コメントありがとうございます。
    毎度要領を得ない感想ばかりなのに、今月は更に酷いことになってしまっていて、さぞ読み難かったことと思います。
    書いておりませんでしたが、壱が12日に、弐と参は17日に観劇した時の感想になります。
    とりあげて頂いた「ふたりのしたこと」ですが、八右衛門が来る前に、梅川は治右衛門に「忠さんに思いがけず大金ができて…」と嘘をついているんですよね。
    梅川があの瞬間「私が嘘をついたせいで」ってところまで考えて「どぉしょぉ」と言ったかどうか(孝太郎さんがそういう心づもりで役作りをしていらっしゃったか)は私にはわかりません。
    でも10日の観劇であの感覚を得られた時、この先のお二方の恋人ぶりがどんな風になっていくのだろうとわくわくしました。
    というものの、もともと孝太郎さんと染五郎さんの組み合わせは大好きなので、観に行く前からわくわくしていましたけれど(笑)。
    さて25日ですが…、観てまいりましたよ?。
    感想は後日、更新しますね。

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