月はまあ分かるのですが、葡萄の何が気に入ったのか、やたら詠んでいます(笑)。
昨年九月の私は一体全体どんな心境だったのでしょうか。
- 荻の声繋ぎかけた手ためらって
- 荻の声出せぬ手紙に貼る切手
- 追いかける背中が見えぬ霧の朝
- すれ違う二人気づかぬ霧の街
- 思い出を霧の扉に閉じこめて
- 抱(いだ)き合う影が纏いし霧の闇
- 待宵を盃にのせふたり酒
- 待宵の月に隠れて逢う人よ
- 待宵や行こか戻ろか橋の上
- 待宵のままでいたいと切る電話
- 仲秋の月満ち足りて落涙す
- 満月が照らす道ゆく影ふたつ
- 満月が隠れた隙に抱きしめて
- 月を見て月に見られてしのび逢う
- 月を見て月に見られてしのび逢い
- われからは消えぬ恋火は燻って
- われからはきみの背中にしがみつく
- われからや肩に残した爪のあと
- 恋に泣く房から落ちた葡萄かな
- 思い出を数えてつぶす葡萄かな
- 捨てた恋数えてつぶす葡萄かな
- 葡萄の実一粒ごとに恋語り
- 葡萄の実を食べるやうに口づけす
- 葡萄の実を食べるようにキスをする
- 葡萄の実を食べるやうに口づけて
- 肩越しの竜胆やさしく微笑んで
- 竜胆や振り返る君気づかずに
- 竜胆やつたう滴は涙かな
- りんどうの涙流して送る君
- 味噌汁を温めて待つ白露かな