昨日に続き、観劇二日目第一部の感想を。
開演前に琴平公園に立ち寄ってクマさんこと篠原勝之さんが制作されたモニュメント(タイトルは「宙(そら)にかぶく」)を拝見。2003年に行われた金丸座の平成の大改修で取り除かれた客席の四本の鉄柱を使ったものである。写真をみてどうなのかなぁと思っていたのだが、記念碑やら銅像が違和感出しまくりな場所とかたまにあるけれど、そんなことはなく自然に普通にそこに存在していた。そして、金丸座の脇道にまわり客席上の藤棚から吊られている提灯を写真に撮影してみる。
一、彦山権現誓助剱
芝雀・染五郎のコンビは昨年十二月以来かな。芝雀さんはいい具合の線の太さで登場してきたので、相手が許嫁と知ってからのお園の変化が可愛かった。ただね、臼が重いものに見えなくて軽い物をヒョイと持ったようにみえちゃったのが残念。あれって何か演出方法とか無いのかな。信二郎さんが意外と悪役が似合っていたのでビックリ。染五郎さんはヒトの良さが出ていて良かったなぁ。六助が騙されたとわかってからの染さん、なんか今までとは違う種類の大きさが見えてえらく感動しちゃったよ。チャラチャラやじゃらじゃらも好きだけれど、こういう役もこれから楽しみになってきた。もっともっと義太夫もので染さんをみたいなぁ。いやまぁ、色んなものでみたいんだけど。
吉之丞さんの御後室役はたまらないね。段落を改めさせてもらうくらい好き。御後室オーラってのがあるのよ。吉之丞さんが発するソレは色んなことを納得させてくれる。突然やって来て「母と思え」と言われても追い返せない何かがあって、それを感じ取る染さんの演技とが合わさり、ユーモラスなやり取りの中にも一本の筋が通っている引き締まった良い場面になっていた。
二、身替座禅
右京のような役の吉右衛門さんって初めて。想像がつかなかったし、今まで吉右衛門さんに対して抱いているイメージからすると何か違うような気がしていたのだけれど、前日の釣女で凄いモノを見ていたせいなのかスッと入ってきた。花子の所から帰ってきたところの客席の熱狂ぶりは凄かった。歌舞伎座における吉右衛門さんの見せ場での客席の昂揚は凄いものがあるのだが、ここは金丸座だ。注がれる視線、期待感、興奮による不思議な空間がほろ酔い加減の右京と一緒に花道を進んでいく…と、仮花道付近に座っていた自分には見えた。
歌昇さんの玉の井!確かに怖いのだけれど、時折ふっと可愛くみえる瞬間すらあった。あぁ、この人は右京のことが好きなんだろうなぁって感じたのよ。きちんと奥方していて、その奥方という立場ゆえこんなにしなくちゃいけない人間ドラマが垣間見えながらも笑わせてくれるところが良かった。
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そんなこんなで充実の二日間を終えて帰路に着いたのである。以前から「いつかはきっと…」と思っていた金丸座は期待以上の楽しい芝居見物だった。また機会があれば観に行きたいと思ったことは言うまでもない。