歌舞伎座・七月大歌舞伎

昼の部。1階二桁列10番台。冷天ざるそば、茹で小豆アイスクリームのせ、土産持ち帰りにも茹で小豆。

「NINAGAWA 十二夜 -三幕-」 配役他は松竹のサイトへ

♪まわる?ま?わる?よ 舞台はまわる?♪ってな感じで、場面が変わるのなんのって(笑)。はい、ここで問題。今月の十二夜、三幕で何場あったでしょうか?答えは、序幕で九場、二幕目で三場、大詰で六場の計十八場でした。んー、ちょっと途切れ途切れな感じがしてしまった。でも場の整理はするつもりがなかったんだろうなぁ。獅子丸やら織笛姫やらが一人になってセリフを言い始めると、もう舞台が回り始めているような錯覚を起こして、ちょっと気持ち悪くなってしまった。いや、冗談ではないっすよ。じっとしていても回っているような感覚を頻繁に起こすめまい症の私。

幕開きの桜と鏡は綺麗。テレビでみて知ってはいたけれど、生でみるとやっぱりイイね。私は客席の提灯が映っているところがお気に入り。黒御簾も襖も鏡仕立てになっていて、役者さんの後姿(逆に花道では正面の姿)が見られるのは楽しかった。二幕目最初の獅子丸が踊る場面では、長唄のみなさんが襖に浮かび上がり、後ろ姿もやはり鏡に映し出されていた。

今回のお芝居の場合は三味線が聞こえてくるとホッとするのは悲しい性分になるのだろうか(笑)。最初の大篠左大臣が登場するところの板付きのチェンバロについては許容範囲。いや、チェンバロの音は好きなのよ。好きなのだけれど、ど、ど、チェンバロが使われるたびに三味線や他の音色だったらどんな感じだろうと思いながらみてしまったのも事実。

今年は一月、三月、六月、そしてこの七月と、時蔵さんにハマりまくりかも。三月に観た本朝廿四孝の八重垣姫さながらの登場以降、徹底して赤姫を貫いているのに妙に面白いのだ。いや、貫き通しているから面白いんだよな、きっと。亀治郎さん演じる麻阿が姫様付きの侍女でありながら姫の叔父の愛人で、立ち回りでもないのに動き回って喋り倒すという、私の乏しい歌舞伎鑑賞経験では観たことが無いタイプの女形。いやはや、こちらもハマったなぁ。凄く崩れているんだけど、やっぱり女形なんだよな。この自ら笑いを作り出す麻阿と、姫であれば姫であるほど可笑しい織笛姫。んー、女形好きの私にとっては実に楽しかったのだ。

この日の右大弁安藤英竹の靴下は黒とピンクの横縞。松緑さん、凄いよ。最初はギョッとしちゃって、観てはいけないものを観ているような何とも言えない気分だったのだが、最後は可愛いとすら感じていた。

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ちょっと絞り込みすぎたかな。まぁ、芝居の感想なんてその気になって書いたら幕が開いたところから事細かに書いていけちゃうし、キリがないからコレでよいのだ。

ところで今回の蜷川幸雄さん演出の歌舞伎は、菊之助さん達ての希望で実現したというのは様々なメディアで取り上げられている話で、菊之助さんの方で既に「十二夜」と決めていたことも報じられている。お願いする側としては何の案も無しに話を持っていけないとは思うけれど、シェークスピア作品としか決まっていなかったら、蜷川さんはどの作品を選んだのだろう。そして実際に演出されてみて、これを歌舞伎でやってみたいと思った作品とかあったのだろうか。

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