第一部。1階二桁列10番台。めで鯛焼き。
一、「祇園祭礼信仰記 -金閣寺-」
雪姫 ...福助
此下東吉実ハ筑前守久吉
...染五郎
十河軍平実ハ佐藤正清
...橋之助
松永鬼藤太 ...亀蔵
慶寿院尼 ...秀調
狩野之介直信...勘三郎
松永大膳 ...三津五郎
前に金閣寺を歌舞伎座で観たのは…などと思い筋書の上演記録を確認してみると、さほど桜の季節に上演されているわけではないらしい。まぁ、梅雨の蒸し暑さの中で新口村を観ていたりするんだから、あまり関係ないさね。ちなみに前回は平成十五年十月で、雪姫は雀右衛門さん、大膳が幸四郎さんに菊五郎さんの東吉という濃い顔ぶれ。その前回より降ってくる桜の量がちょっと少なく感じたんだけれど気のせいかな。いや、たぶん少ないよ。前回は雀右衛門さんがつぶれるんじゃないかと思うくらい降ったもの…って、そりゃ、均一に降らずに固まりで落ちてきたってだけか(笑)。
福助さんの雪姫は気丈な姫といった感じで、人妻風情は薄かったかな。でも、大膳に踏みつけられている時の顔はなんとも色っぽかったわぁ。そんな部分もあってか、三津五郎さんの大膳からサディスティックな部分を強く感じられて面白かった。また、天下より雪姫を我が物にしたいという望みの方が前に出ていたように感じた。やはり三津五郎さんは色男なのか。
で、ちょっと段落を改めさせていただきまっせ。久しぶりに白い染さんを拝むことができて感動!! っつーか、そのために段落かえるのかよ! 先月は大阪に行かなかったんで、花道から出てきた時には「うぉっ、ホントにいるよ?」ってな感じで、出てきただけでもうウットリ(笑)。東吉という役はなかなか染さんに合っているのではないかや? 颯爽としていて実直な風情がとっても良い。でも、そんな風情が勝ち過ぎて寝返るような人に見えなさ過ぎ。とは思ったものの、大膳も敵の計略かもしれないことを承知で召抱えるのなら(しかも、とっくに軍平実ハ正清に騙されてるんだし)終始一貫捌き役の佇まいで良いのだろうか。難しいね。鎧をつけて再登場するところで、ふと熊谷陣屋の義経の拵えがあまりに可愛かったことを思い出してしまい、モモタロさんだったらどーしよーなんて不届き千万なこと考えちゃったりしたけれど大丈夫だった。でも、あとで舞台写真を見てみたら、やっぱり可愛かったよ(笑)。でも、このお役、もっと観たかったなぁ。今月、ちょっと忙しかったのが残念。
それにしても大膳などがつけるあの「王子」っていう鬘…さほど頻繁にでてくる髪型ではないけれどどうしても好きになれないのだ。だから今回の納涼歌舞伎の朝一が金閣寺と知った時は「ちょっとなぁ」って思っていた。そんなことで嫌がるなよって話だが。そんなわけで、染さんの大膳も観てみたいような気もするのだが、どうしてもあの髪型が好きになれないので観てみたいとは言わない。それはさておき、もっと朝から疲れてしまうかと思ったのだが、思っていたよりすっきりとした舞台で、逆にもっと濃厚でも良いんじゃないかなと感じてしまった。
二、「橋弁慶」
武蔵坊弁慶...獅童
牛若丸 ...七之助
やっぱり世の中、義経ブームなのかな。七之助くんが橋の欄干に飛び乗るところなんぞはなかなか軽やかな身のこなしだけれど、やっぱり細すぎるわな。でも、義経じゃなくて牛若なんだからあれで良いのか。獅童くんの踊りって初めて観た。牛若と並んだ時のバランス良いように思えたし、力いっぱいだったが力強くは見えなかったかな。
三、「雨乞狐 野狐の五変化」
野狐・雨乞巫女・座頭・
小野道風・狐の嫁...勘太郎
面白かったわ?。踊り分けて演じ分けつつもしっかりと一匹の野狐(コレ「やこ」って読ませるのね。筋書をみて驚いた無知な私)である。最後の野狐で「また狐が出てきた」ではなくて「元の姿に戻った」じゃなくちゃならないんだよね。そんなところに感心しながら観ていたわけだが、それにしても勘太郎くんは愛嬌も風情もあるし魅せてくれる。正月の浅草は観に行ったことが無いのだが、彼の「四の切」はどんなだったのだろうと興味が湧いてくる。
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平日朝から補助席が出てまっせ。まぁ、夏休みって人もいるのかな。この日は続けて第二部も鑑賞(感想は別エントリーで)。