新橋演舞場 五月大歌舞伎・夜の部

一回一桁列ど真ん中。黒大豆の黄粉プリン、コーヒー。

一、増補双級巴石川五右衛門
   石川五右衛門...吉右衛
   此下久吉.....染五郎
   三好国長.....信二郎門
   左忠太......宗之助
   呉羽中納言....桂三
   三好長慶.....歌昇
   次左衛門.....段四郎

つづら抜けに宙乗りと大サービスの演目。大らかな茶目っ気(って、なんだか言葉にするとよくわからない表現だわ)という吉右衛門さんの魅力も満載で楽しい。直衣姿で現れた時の胡散臭さ加減は絶妙で、観客を惹き込む力が凄いなぁと改めて実感。最初に登場する段四郎さんの次左衛門、中納言の柱三さんがいい味を出されていて、派手さは無いけれどとても見ごたえのある序幕だった。

御殿では染さんの久吉もたっぷり。吉右衛門さんと並ぶとさすがに迫力負けしちゃうけれど、やっぱり眼福。糸に乗った染さん、好きだわ。胸を借りるくらいまでいってたかしら?五右衛門と久吉が腹這いになって話す場面はなんとも楽しく可愛らしい…って、おっさんとプチおっさんに何言ってんだか。つづら抜けから宙乗りって面白いねぇ。つづらのウチがオモテに返ってという

そして、色鮮やかなの南禅寺山門に五右衛門…観ているこちらが「絶景かな」。うーん、浅葱色の巡礼姿は不利じゃ。

二、京鹿子娘道成寺
   白拍子花子...福助
   所化......幹部御子息連中
           (種太郎、廣太郎、米吉、廣松、隼人、児太郎、龍之助)

所化、ちっちゃ! はてさて、彼らはどんな役者さんになっていくんだろう。

福助さんって、こんなに綺麗だったっけ? などと、「今頃気がついたか」と全国の福助さんファンの方に叱られそうなことを書いてみる。上品だろうが下品だろうが凄く色気があって魅力的な方だけれど、綺麗さという部分に関してはあまり意識したことがなかったんだよなぁ。東京では十四年振りに踊られるというのだが、どうも初めて観たような気がしない。映画も観ていないしなぁ、と考えていたのだが、数年前に日本の伝統芸能(教育TV)で福助さんの道成寺の映像を使って説明していたような、いなかったような…などと書いて全然違っていたらごめんなさい。

三、松竹梅湯島掛額
   紅屋長兵衛...吉右衛門
   小姓吉三郎...染五郎
   八百屋お七...亀治郎
   長沼六郎....信二郎
   丁稚長太....廣松
   月和上人....由次郎
   若党十内....歌昇
   おたけ.....芝雀
   釜屋武兵衛...歌六

なんともくだらなくて楽しいお土砂。セリフが明朗な人たちばかりなので、余計に滑稽さが増すような感じ。実は、芝雀さんが年頃の娘の母親役っていうことにあまり想像力が働かなかったのだが、観てみると意外とはまっている。三月のホリvs安兵衛の記憶も新しいところで今月はお七vs吉三郎という亀治郎さんと染さん。迫る方が逆なのも観てみたい。「最近の染五郎は?」のところは「父親に似て余程素晴らしい子なのでしょう」ってなことを切替していた。いくつかバージョンがあるのかな。もう前髪は…と思いつつ、みるとやっぱり可愛いのよね。

最後は人形ぶりの火の見櫓。グッときた。熱くこみ上げてくるものがあった。想いの深さよりも、想いの濃さ、頑なさを感じる一幕。男が表現する女の執念を観て感動する私は女。歌舞伎って面白いね。

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改装後の新橋演舞場は今回が初めてである。シックな雰囲気でよろしいんじゃないでしょうか。

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