2012年7月の句

はい、恒例の月一更新です…って駄目じゃん!

昨年の7月は自由律を含めて63句も作っていました。
読み返してみると結構好きな句があるわ。
それにしても、今年のペースは少なすぎて本気でまずい。

  • 口ずさむ梅雨の晴れ間に雨の唄
  • 悲しくて梅雨空だけがもらい泣き
  • 梅雨空にもらい泣きする赤子かな
  • 雨上がり緑にむせる梅雨の午後
  • 今生の別れと知ってか送り梅雨
  • 夕空に梅雨明け願う帰り道
  • 梅雨明けて変わらぬ空の色変わる
  • 天の川近くて遠い向こう岸
  • 雨傘のしずく頬打つ小暑かな
  • 葉が揺れて雨と気がつく吊忍(つりしのぶ)
  • うたた寝の空に浮かぶは吊忍
  • 忍ぶ恋吊るしてまどろむ窓辺かな
  • 薄張りのグラスで跳ねる曹達水
  • 曹達水浮かぶミントの頼りなさ
  • 南瓜の花がきらめく畑かな
  • 無造作に置いたハンカチ花南瓜
  • 赤子寝る団扇の風も気づかずに
  • 待ち合わせ団扇でそっと顔隠し
  • 左頬団扇で叩く痴話喧嘩
  • 夢にまで溽暑のようなあの女
  • 舞い降りた溽暑(じょくしょ)の鳥の羽重く
  • 半衿の汗も乾かぬ溽暑かな
  • 勝昭の白シャツ凛々し名古屋場所
  • 見下ろせば青田を滑る影一羽
  • 冷し酒肴は炙った烏賊でいい
  • 水羊羹そっとおろした黒文字
  • 日盛(ひざかり)や影も汗かくアスファルト
  • 日盛やはしゃぐ子供と跳ねる水
  • 日盛の庭にエチュード風を呼ぶ
  • 白鷺や後ろ姿に騙されて
  • 白鷺に騙されるよな男あり
  • 一本道何を燃やしてカンナ咲く
  • 盛夏の候出さぬ手紙の蒼い文字
  • 思い出を鞄にいっぱい詰めた夏
  • 雲海の降りる山道極楽へ
  • 雲海や集め清めた溜息か
  • 雲海や山の頂飲み込んで
  • 見上げれば雲海泳ぐ鳥の群れ
  • 坂道を流れる影は夏の雲
  • 愛してる愛してるのと蝉しぐれ
  • 往来に耳傾けて端居かな
  • 着信をそっと無視する端居かな
  • 端居して聞き耳たてるはしたなさ
  • キセル持ち役者気取りの端居かな
  • 詠み掛けの句を連れ去りし土用波
  • 朱鷺色の雲降りてきて夏の夕
  • 夕焼けに染まる川面に投げた石
  • 足もとに寄せては返すゆやけかな
  • 夕焼けに触れてみたくて水鏡
  • 花蜜柑はつ恋の日々遠くなり
  • 片蔭や逃げ込んだとて変わりなし
  • 熱帯夜数ふ羊の毛を刈らん
  • 熱帯夜氷のような女抱く
  • 熱帯の夜よりよっぽど酷いらしい
  • 炎天下アスファルトに頬寄せてみる
  • 夜釣りから帰るふたりに月笑う
  • 月明かり照らす夜釣りの影ふたつ
  • 夜釣火や業をくべつつ糸垂らす

【自由律】

  • アイスクリームで冷やすのは熱いキスで焼けた舌
  • 梅雨の晴れ間も三日続けば立派な夏
  • ヴィシソワーズに浮かべたパセリ
  • 海原を豚バラに空耳したから今日は肉料理
  • メールを何度も読み返すBGMは蝉しぐれ

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