はい、恒例の月一更新です…って駄目じゃん!
昨年の7月は自由律を含めて63句も作っていました。
読み返してみると結構好きな句があるわ。
それにしても、今年のペースは少なすぎて本気でまずい。
- 口ずさむ梅雨の晴れ間に雨の唄
- 悲しくて梅雨空だけがもらい泣き
- 梅雨空にもらい泣きする赤子かな
- 雨上がり緑にむせる梅雨の午後
- 今生の別れと知ってか送り梅雨
- 夕空に梅雨明け願う帰り道
- 梅雨明けて変わらぬ空の色変わる
- 天の川近くて遠い向こう岸
- 雨傘のしずく頬打つ小暑かな
- 葉が揺れて雨と気がつく吊忍(つりしのぶ)
- うたた寝の空に浮かぶは吊忍
- 忍ぶ恋吊るしてまどろむ窓辺かな
- 薄張りのグラスで跳ねる曹達水
- 曹達水浮かぶミントの頼りなさ
- 南瓜の花がきらめく畑かな
- 無造作に置いたハンカチ花南瓜
- 赤子寝る団扇の風も気づかずに
- 待ち合わせ団扇でそっと顔隠し
- 左頬団扇で叩く痴話喧嘩
- 夢にまで溽暑のようなあの女
- 舞い降りた溽暑(じょくしょ)の鳥の羽重く
- 半衿の汗も乾かぬ溽暑かな
- 勝昭の白シャツ凛々し名古屋場所
- 見下ろせば青田を滑る影一羽
- 冷し酒肴は炙った烏賊でいい
- 水羊羹そっとおろした黒文字
- 日盛(ひざかり)や影も汗かくアスファルト
- 日盛やはしゃぐ子供と跳ねる水
- 日盛の庭にエチュード風を呼ぶ
- 白鷺や後ろ姿に騙されて
- 白鷺に騙されるよな男あり
- 一本道何を燃やしてカンナ咲く
- 盛夏の候出さぬ手紙の蒼い文字
- 思い出を鞄にいっぱい詰めた夏
- 雲海の降りる山道極楽へ
- 雲海や集め清めた溜息か
- 雲海や山の頂飲み込んで
- 見上げれば雲海泳ぐ鳥の群れ
- 坂道を流れる影は夏の雲
- 愛してる愛してるのと蝉しぐれ
- 往来に耳傾けて端居かな
- 着信をそっと無視する端居かな
- 端居して聞き耳たてるはしたなさ
- キセル持ち役者気取りの端居かな
- 詠み掛けの句を連れ去りし土用波
- 朱鷺色の雲降りてきて夏の夕
- 夕焼けに染まる川面に投げた石
- 足もとに寄せては返すゆやけかな
- 夕焼けに触れてみたくて水鏡
- 花蜜柑はつ恋の日々遠くなり
- 片蔭や逃げ込んだとて変わりなし
- 熱帯夜数ふ羊の毛を刈らん
- 熱帯夜氷のような女抱く
- 熱帯の夜よりよっぽど酷いらしい
- 炎天下アスファルトに頬寄せてみる
- 夜釣りから帰るふたりに月笑う
- 月明かり照らす夜釣りの影ふたつ
- 夜釣火や業をくべつつ糸垂らす
【自由律】
- アイスクリームで冷やすのは熱いキスで焼けた舌
- 梅雨の晴れ間も三日続けば立派な夏
- ヴィシソワーズに浮かべたパセリ
- 海原を豚バラに空耳したから今日は肉料理
- メールを何度も読み返すBGMは蝉しぐれ