フェルメール・センター銀座で行われている「あっぱれ北斎!光の王国展」を鑑賞した。
…と言っても先月のこと(笑)。
冨嶽三十六景と諸国瀧廻りの全作品をデジタル技術でリ・クリエイトするという異色の展覧会。
私もそれほど詳しいわけではないが、浮世絵版画というのは版元や売られた時期によって色が異なることが少なくない、っていうかそういうものなのだ。
一昨年12月にサントリー美術館で開催された広重 東海道五十三次展も「保永堂版・隷書版を中心に」と付記されており、「蒲原 夜之雪」の空の色は前者は天ぼかしで後者は地ぼかし、山の色は前者には藍ぼかしが入っているが後者には入っていない。
中には構図はそのままに描かれているものの、屋根の質感が全く違っている作品もある。
なんでそんなことしちゃうかっていうと、流行であったり商魂であったり…。
で、話は今回の北斎展に戻る。
発見された作品や数多くの資料をもとに、初摺(もしくは最も初摺に近いと考えられる)色味にこだわり最新のデジタル印刷技術で再現、リ・クリエイトされたものが展示されている。
フェルメール・ブルーという言葉、色があるが、この展覧会ではまさに北斎ブルーが堪能できる。
空、瓦、川、海、波、富士を青から藍で描き分けられ、松の緑や材木の色と見事に調和している。
音声ガイドでは小林薫さんが北斎、宮沢りえさんが娘お栄に扮して当時の暮らしぶりや作品の解説が流れる。
また、iPadの貸出も行われている。
どの辺りから富士山を眺めたのか地図で確認したり、一部の作品を3D化して見ることができる。
当初の会期は確か3月一杯の筈だったのだが、確認してみたら5月末まで延長されたようなので、是非ご鑑賞ください。
事前申込みが必要ではあるが、北斎ナイトという展示解説付きの春画特別公開も行われている。