昨日投稿した一昨年の分に年の瀬の俳句が少ないと書いたら、昨年のほうがもっと年の瀬感無かったです(苦笑)。
- 花よりも舞い散る紅葉になりたくて
- 投げた石水面に咲いた紅葉散る
- 午後二時の水面に咲いた散り紅葉
- 薄れゆく恋の記憶や散紅葉
- 枯園となりし故郷の景色かな
- 枯園や朝の褥の冷たさや
- 枯園や移ろうことの幸せよ
- タルタルとレモンで離婚牡蠣フライ
- 生牡蠣や指から墜ちるレモン汁
- 涙目でむせた振りして酢牡蠣食う
- 大雪(たいせつ)やZIPPOの炎影伸びて
- 大雪の更け行く夜は速すぎて
- 大雪や彩りのない交差点
- 大雪や次の暦を準備する
- 染まりゆく街路樹囲む冬の空
- 好きだから冬の夜空が好きだから
- 冬の夜星が綺麗とメールする
- 閉じた本見上げた窓に星冴ゆる
- ほろ酔いのひとり歩きや冬の月
- 冬夕焼け夜が来るのを押し留め
- 飲み干すはソーダで割った冬夕焼け
- 公園の真白な芝に寒鴉
- 鳴きもせずただ巣に帰る寒鴉
- 寒潮や運ぶ味覚に舌鼓
- 寒潮に乗せて届かぬ恋心
- 炉話や拍手は薪の爆ぜる音
- 炉話や思ひ出くべて夜を明かす
- 極月やハズレ馬券のしおりかな
- 極月や物の見方の変わる日々
- 飲み明かす最後の一杯初氷
- 初氷触れて消えゆく朝日かな
- 初恋や初霜初雪初氷
- 畳替障子の影のやわらかく
- 畳替青の香りを楽しんで
- 畳替え慌てて拾うへそくりや
- 枯れ枝の節に別れの涙かな
- 室咲きの野望萎れてあおる酒
- 待てど来ぬいつの間にやら雪時雨
- 献立に悩む買い物日短し
- 短日や街灯に降る雨きらり
- 短日や少し早めに燗つける
- 私でも生きているのよ一茶の忌
- 掬われて救われはせず波の花
- 呼吸する我確かめる波の花
- 明日から明るくなるわ冬至の夜
- 速足で夕闇迫る冬至かな
- 日は陰り我が世も翳り冬至かな
- 独り呑む今年の私と忘年会
- 忘年会自分の年を忘れる会
- ほろ酔いで底冷えの街朝帰り
- 底冷えの部屋で待つ人いるじゃなし
- 底冷えの教室で待つ忘れ物
- 年内に云うほど深い意味はなし
- 星が降る雪は降らねど星は降る
- ひとつずつ夜が明けるたび年暮るる
- 張りつめた夜空を散歩年の暮れ
- 寒凪や恋の数だけ浮かぶ船
- 寒凪や鴎に追わるる鴉かな
- 寒凪や傍目に見えぬ不幸せ
- 街の音抱いて降り積む牡丹雪
- 根深汁ゆるりと醒ます宿酔い
- 葱汁や眼鏡くもらせ啜るひと