「ちびくろ・さんぼ」復刊

差別批判で絶版、「ちびくろ・さんぼ」復刊へ…瑞雲舎(Yahoo!ニュースより)

岩波書店版「ちびくろ・さんぼ」版元をかえて復刊されるそうである。

懐かしい。子供の頃、円を描くようにグルグル走り回りながらどのくらい速く走ったらバターになるのか真剣に考えた。そしてバターがとろけたホットケーキは今でもワクワクする食べ物だ。

絶版に至った経緯などはこちらの「ちびくろさんぼのちいさいおうち」に詳しい。随分とたくさんのちびくろさんぼの絵本があったんだなぁ。自分が読んだのはどの絵本、どなたの絵だったのだろう?本を手に取れば思い出す自信はあるのだが…。色んなものを切り捨てて、忘れ去って大人になってしまった。勿体ない。

私自身が差別問題というものに何らかの取り組みや勉強をしたわけではないが、非常にデリケートな問題であることは理解できる。意図的な差別はもちろんだが、この本のように差別したつもりがないにもかかわらず差別されたと誤解を与えてしまうケースはなんともやりきれない。国や地域、生活習慣や文化の違いから生じる表現の違いから生じてしまった誤解の差別は少なくないのだろう。この「ちびくろさんぼ」も時代背景や版権の問題などが絡み、決して単純な事件ではないのだが、果たして誤解を誤解のままにし、差別部分を強調、指摘されて絶版していけばそれで解決なのだろうか?そして、誤解であるという主張に耳を傾けずとにかく排除していくべきなのか?そうだとしたら、人は何も喋らなければ良い、何も書かなければ良い、異なる価値観を持つ国、民族、文化は交流しなければ良いと言っていることと同じではないか?

差別する(してしまった)側と差別された(されたと感じた)側の双方が歩み寄って誤解を解き、理解しあう手立てを探り続けていくことは人類に課せられた永遠の課題であり、永遠に終結しない問題なのだと人権問題素人の私は考える。

今回の復刊に際しては、当時問題になった部分等についてなんらかの注釈がつくなりするのだろうか?どのような形で復刊されるのか見てみたい。もし子供の頃に親しんでいた絵であったなら購入するかも。それも早くしないと…。今度は動物愛護団体が「トラを騙して走らせ、さらにバターにして食べてしまうなど、侮辱かつ虐待表現に他ならない」とか言って訴えてきてまた絶版になるかもしれないから。

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