Posts Tagged ‘歌舞伎’

歌舞伎座 六月大歌舞伎・昼の部

2006/6/15 木曜日

1階一桁列花道下。入場前にカステラモーニング。

一、君が代松竹梅
   松の君....翫雀
   梅の君....愛之助
   竹の姫....孝太郎

平安朝の装束は華やかで優雅だ。お三方ともそれぞれに松・竹・梅の風情が出ていたが、孝太郎さんの竹の姫は天真爛漫と言おうか、名前の通り竹を割ったような性格をしていそうな雰囲気がとても気持ち良かった。

ニ、双蝶々曲輪日記 角力場
   濡髪長五郎...幸四郎
   吾妻......高麗蔵
   放駒長吉/与五郎
       ....染五郎

相撲小屋から客が出てくる、出てくる(笑)。あれは楽しいねぇ。放駒の若々しさ無邪気さと濡髪の真意。放駒は可愛かったわ。満足していないわけじゃないんだけれど、なんか弾けて、というか迫ってこない感じがするのはなんだろう。いささかテンポが良すぎて、放駒の威勢の良さと濡髪の貫禄とのバランスが私には合わなかったのかもしれない。「濡髪」って色っぽい四股名だなぁと、鬢付油の匂いを思いだしたりして…。与五郎はもう濡髪が大好きで堪らないという感じがすごく良く出ていて、間抜けっぷりもはしゃぎっぷりも観ていて楽しい。もともと似合うと思っていたけれど、久しぶりに見たあの拵えがさらに似合っていて「ぅぉ、出たっ」という感じである。久しぶりに…と書いたけれど、久しぶりだっけ? そうでもない? もうあの格好でそのへん歩いていても違和感が無さそうな位になっててわかんないや。いや、さすがに違和感あるだろうよ。

三、昇龍哀別瀬戸内 藤戸
   老母藤波/藤戸の悪龍
        ....吉右衛門
   浜の男磯七....歌昇
   浜の女おしほ...福助
   佐々木盛綱....梅玉

意外と吉右衛門さんの老婆姿に違和感を感じなかった。尤も、作りこんだ化粧をされていたわけでもないし、釣女を見てしまったら少々のことでは動じないんだろうなぁ(笑)。さて、作品の方は平成十年に厳島神社に奉納されたという舞踊劇。反戦メッセージが込められているとのことだが、元々が能の『藤戸』を素材にしていること(残念ながらお能は未見である)や、源平物をはじめとして歌舞伎には戦で無念の死を遂げる者や我が子を失う者の話は多いので、社会派の歌舞伎?などと身構えることもなく観られるのではないだろうか。ま、感じ方は人それぞれだが。梅玉さんはこういうスッとした役が似合う。後シテの悪龍は吉右衛門さんの本領発揮というところで、登場から花道の引っ込みまで観るものを圧倒する。

四、江戸絵両国八景 荒川の佐吉
   荒川の佐吉.....仁左衛門
   丸総女房お新....時蔵
   仁兵衛娘お八重...孝太郎
   大工辰五郎.....染五郎
   成川郷右衛門....段四郎
   相模屋政五郎....菊五郎

やっぱり仁左衛門さんってカッコ良いわ♪三下奴には見えない…、見えない筈なんだけれど見えるのよ。何を書こうとしても、ベタ惚れな言葉しか出てこなくてダメだね。私にとって直球ど真ん中なので仕方がない。以前に何かの感想で書いたかもしれないけれど、まれに自分の後方から舞台に向かっていく空気というか熱を感じることがある。序幕での蟹の穴やら勝った者が強い話のあたりはまさにそれ。仁左衛門さんが演じている「佐吉」の言葉に引き込まれていくのか、佐吉の格好をした「仁左衛門さん」の話に集中するのか分からないがそんなことはどうでも良い。この客席から舞台に向かっていく風というか「気」の真ん中に自分がいることを感じる瞬間が好きなのだ。

-逆に、舞台から発せられる気(役者さんの存在感であったり美しさであったりと様々だが)に圧倒されてこちらが思わず仰け反る(のけぞるってこんな漢字なのね)ような感覚になることもある。お芝居って面白い。-

成川郷右衛門役の段四郎さんの「なに…この人…」と言いたくなるほど素晴らしい悪者ぶり。仁兵衛を斬って戻ってきたところの刀に水を掛けるところの緊迫感は堪らなかった。

染さんの辰五郎が良いんだなぁ。笑わせたりしんみりさせたり、和ませたかと思えばじーんとさせられる。この芝居の中では、唯一かたぎで生きている人だから、佐吉や周りの人物との浮かず沈まずのバランスは簡単なものではないのだろうが、とても自然にヤクザ者とかたぎの線引きが出来ていたように思う。

新橋演舞場 五月大歌舞伎・夜の部

2006/5/10 水曜日

一回一桁列ど真ん中。黒大豆の黄粉プリン、コーヒー。

一、増補双級巴石川五右衛門
   石川五右衛門...吉右衛
   此下久吉.....染五郎
   三好国長.....信二郎門
   左忠太......宗之助
   呉羽中納言....桂三
   三好長慶.....歌昇
   次左衛門.....段四郎

つづら抜けに宙乗りと大サービスの演目。大らかな茶目っ気(って、なんだか言葉にするとよくわからない表現だわ)という吉右衛門さんの魅力も満載で楽しい。直衣姿で現れた時の胡散臭さ加減は絶妙で、観客を惹き込む力が凄いなぁと改めて実感。最初に登場する段四郎さんの次左衛門、中納言の柱三さんがいい味を出されていて、派手さは無いけれどとても見ごたえのある序幕だった。

御殿では染さんの久吉もたっぷり。吉右衛門さんと並ぶとさすがに迫力負けしちゃうけれど、やっぱり眼福。糸に乗った染さん、好きだわ。胸を借りるくらいまでいってたかしら?五右衛門と久吉が腹這いになって話す場面はなんとも楽しく可愛らしい…って、おっさんとプチおっさんに何言ってんだか。つづら抜けから宙乗りって面白いねぇ。つづらのウチがオモテに返ってという

そして、色鮮やかなの南禅寺山門に五右衛門…観ているこちらが「絶景かな」。うーん、浅葱色の巡礼姿は不利じゃ。

二、京鹿子娘道成寺
   白拍子花子...福助
   所化......幹部御子息連中
           (種太郎、廣太郎、米吉、廣松、隼人、児太郎、龍之助)

所化、ちっちゃ! はてさて、彼らはどんな役者さんになっていくんだろう。

福助さんって、こんなに綺麗だったっけ? などと、「今頃気がついたか」と全国の福助さんファンの方に叱られそうなことを書いてみる。上品だろうが下品だろうが凄く色気があって魅力的な方だけれど、綺麗さという部分に関してはあまり意識したことがなかったんだよなぁ。東京では十四年振りに踊られるというのだが、どうも初めて観たような気がしない。映画も観ていないしなぁ、と考えていたのだが、数年前に日本の伝統芸能(教育TV)で福助さんの道成寺の映像を使って説明していたような、いなかったような…などと書いて全然違っていたらごめんなさい。

三、松竹梅湯島掛額
   紅屋長兵衛...吉右衛門
   小姓吉三郎...染五郎
   八百屋お七...亀治郎
   長沼六郎....信二郎
   丁稚長太....廣松
   月和上人....由次郎
   若党十内....歌昇
   おたけ.....芝雀
   釜屋武兵衛...歌六

なんともくだらなくて楽しいお土砂。セリフが明朗な人たちばかりなので、余計に滑稽さが増すような感じ。実は、芝雀さんが年頃の娘の母親役っていうことにあまり想像力が働かなかったのだが、観てみると意外とはまっている。三月のホリvs安兵衛の記憶も新しいところで今月はお七vs吉三郎という亀治郎さんと染さん。迫る方が逆なのも観てみたい。「最近の染五郎は-」のところは「父親に似て余程素晴らしい子なのでしょう」ってなことを切替していた。いくつかバージョンがあるのかな。もう前髪は…と思いつつ、みるとやっぱり可愛いのよね。

最後は人形ぶりの火の見櫓。グッときた。熱くこみ上げてくるものがあった。想いの深さよりも、想いの濃さ、頑なさを感じる一幕。男が表現する女の執念を観て感動する私は女。歌舞伎って面白いね。

——————

改装後の新橋演舞場は今回が初めてである。シックな雰囲気でよろしいんじゃないでしょうか。

日向嶋景清と吉右衛門さん

2006/3/24 金曜日

本日20時から放送の、ハイビジョン特集「還暦からの挑戦」~中村吉右衛門 歌舞伎の新作を創る~ を録画して、途中まで鑑賞したところである。

昨年の四月に金丸座で、十一月に歌舞伎座で上演された「日向嶋景清」のドキュメント。稽古風景、インタビュー、打ち合わせの様子などである。また、九月の勧進帳の様子も流れた。楽屋でのインタビューや、景清の化粧に試行錯誤される様子など、なかなか興味深い内容。金丸座で娘糸滝を演じた隼人くんに吉右衛門さん自ら稽古をつける様子や、隼人くんのインタビュー、歌舞伎座で糸滝を演じた芝雀さんのインタビューもある。

八代目松本幸四郎さんが文楽と合同で公演された時の映像も紹介された。その時の糸滝は雀右衛門さんである。

3月26日のNHK教育「劇場への招待」でもドキュメントと歌舞伎座の舞台中継が放送されるようである。ドキュメントの放送時間が今日のハイビジョンと異なるので、編集しなおしているのかな。

余談:やはり金丸座で上演された「彦山権現誓助剱」で染五郎さんは六助を演じたのだが、吉右衛門さんに稽古をつけて頂く様子も番組前半で紹介された。なかなか見られるものではないので嬉しかった。

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