歌舞伎座 吉例顔見世大歌舞伎・壱

昼の部。1階二桁列10番台。にしんそば。豆大福、わらび餅(黒糖)を土産持ち帰り。だーかーら、いつも土産を買いすぎ。だって、わらび餅は日持ちするって言われたんだもの…。

一、息子
    金次郎.....染五郎
    捕吏......信二郎
    火の番の老爺..歌六

筋書きの上演記録によると平成に入って初めての上演。

本当に三人しか出てこないのね。新歌舞伎でセリフ劇、セットも舞台中央に小屋が一つ。寂しいと言えば寂しいのだけれど、御三方がそれぞれの味を出しながらバランスの取れた舞台。でもやっぱり、ちょっとあっさりしているし、芝居というより演劇って感じだ。まぁ、辞書を引くとどちらも一緒のように書いてあるんだけれど。朝一番だし、次の演目を考えるとこのくらいで良いのかな。好き嫌いが分かれそうだなぁとは思うが、私自身がすんなりと観劇モードに入れたので上々。

二、一谷嫩軍記 熊谷陣屋
    熊谷直実...仁左衛門
    源義経....梅玉
    藤の方....秀太郎
    堤軍次....愛之助
    梶原景高...錦吾
    弥陀六....左團次
    相模.....雀右衛門

さっきは金次郎で今度は小次郎…という冗談はさておき、首実検で自分も含めて周囲一体が相模の嘆きに陥落。ハンカチやティッシュを慌てて取り出す周囲の気配にハッと我に返った。直実が小次郎の首を相模に手渡す芝翫型。死んだ我が子に対する夫婦の気持ちが表れていて、とても辛く悲しくて良い場面だと思う。先月は雀右衛門さんが休演されている時の観劇だったので、今月はお元気な姿を拝見できて嬉しかった。

軍次の愛之助さんが美しく、相模の手を取るところなどなかなか。

仁左衛門さんって、カッコワルイ時とかあるんだろうか…。いやまぁ、カッコイイかどうかってのは観ている側それぞれの趣味によるところなので、カッコイイと思わない人もいるのだろうけれど、私にとっては悲しい役でも、悪い役でも、いつもとても素敵過ぎ。

三、雨の五郎・うかれ坊主
雨の五郎
    曽我五郎時致...吉右衛門

筋書きのインタビューによると最高齢の五郎だとか。この日はいつもに増してもの凄い拍手でビックリ。朗らかな感じで、微笑ましい一幕だった。

うかれ坊主
    願人坊主....富十郎

素肌に袈裟のみで舞台の真ん中に一人っきり。それでいて舞台の広さを感じさせない存在感。飄々としたコミカルさでこういう大きさをだしながら、観客を惹きつけるって凄いよなぁ。とにかく素晴らしかった。

四、人情噺文七元結
    左官長兵衛....幸四郎
    女房お兼.....鐵之助
    手代文七.....染五郎
    娘お久......宗之助
    家主甚八.....幸右衛門
    手代藤助.....錦吾
    鳶頭伊兵衛....友右衛門
    和泉屋清兵衛...段四郎
    角海老女房お駒..秀太郎

割と頻繁に上演されているのだけれど、観劇に偏りがあるので(笑)平成十四年の吉右衛門さんの長兵衛以来である。こうしてお二人が演じられているので、白鸚さんが演じられているのかと思いきやそういう訳でもないのね。

果たして幸四郎さんが博打・酒好きの町人に見えるかどうかという疑問もあったのだが、長兵衛はやりかけの仕事を止めていたりするので、やれば出来る人って意味であまり違和感は感じなかった。幸右衛門さんの大家さんがクルクルクルクルといい味を出していて、じわっとくる可笑しさ。

染五郎さんの文七が堪らなく好きだったりする。前回、かなり私のツボにはまっていて、今回もかなり楽しみにしていた。演目と配役が発表になってから自分の中でかなり盛り上がってしまっていて、こんなに期待していって大丈夫かいな…と思っていたけれど、大丈夫だったわ。朝の金次郎も良かったけれど、やっぱり文七の方が好きだな。年齢やら何やら考えると、そろそろ文七は卒業なのかしら。ちょっと寂しい。

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先月は昼に加賀見山が入っていて演目数としては少ないこともあり、昼夜続けて1日で観劇したのだが、今月はちょっとキツそうだったので二日に分けた。それが正解だったと思えるバラエティーに富んだ昼の部だった。都合がつけばもう一回と言いたいところだが多分無理だろうなぁ。残業続きの合間の休日に観劇を入れると疲れが増すような気がするのだが、不思議とそうでも無く、嫌な疲れを心地よい疲れに転換できた。

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